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友達のお見舞いに行ったらいきなり襲ってくる鬼畜野郎に恋してしまいました
5.
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次の日。
また奏太ではなく奏里が来たが、お昼ごろに早退してしまった。
酷く慌てていたけれど、大丈夫だろうか。
何があったんだろう、なんて考えてみても答えは出なくて、いつの間にやら放課後になっていた。
早退したとは言っても、奏里の荷物は教室に置きっ放しになっている。
家に届けた方が良いのだろうか?
でも、またここに戻ってくるつもりなら入れ違いになりそうだ。
うだうだしていると、顔色が悪い奏里が教室に入ってきた。
「…春、来て」
「…師匠、どうした?
顔色真っ青だぞ。何があったんだ?」
「後で話すから、とりあえず来て」
そう言われて大人しくついていくと、学校の裏手に停められた真っ黒のベンツ。
驚いて目を見開くと、運転手らしき人がドアを開けてくれた。
奏里と一緒に車に乗り込むと、すぐさま車は発進した。
どこに向かっているのかは、着けばわかるだろうから聞くのは後回しにした。
「…で、どうしたんだよ?」
アバウトに聞いてみると、奏里はなかなかに困った顔で笑った。
「何から話せばいいかわかんないや。
とりあえずね、うちの家、シロカワ組っていうヤクザなんだけど、傘下のキタムラってとこのクラスメイトの娘にお兄ちゃんが襲われちゃってさ」
「…ほう」
「…ヤクザってこと、驚かないんだね?」
「うーん…ちょっとは驚いてるけど、そんなことよりもかなが心配だ。
あいつは大丈夫なのか?」
「そんなこと、って…
お兄ちゃんは、とりあえずは大丈夫。
それで、あんたにお願いがあるんだけど…」
「なんだ?」
「お兄ちゃんのことが大好きな奴がいるんだよ。
お兄ちゃんのことが好きで好きでたまらなくてね、もう5年くらい想い続けてる…
そいつ、お兄ちゃんを守れるくらいに強くなりたいんだって。
だから、そいつに剣道教えてやってくれないかなあ…」
「それはもちろんいいけど…」
自分で教えれば良いのに、と思ったのが伝わったのか、奏里は理由を語り出す。
「これから組の方が忙しくなりそうなんだ。
だから居残り練習も出られないし、ちょうど良いと思って」
「ふぅん、わかった」
「ありがとう…そいつ、今は病院でお兄ちゃんのことみてる。
いまそこに向かってるから、お兄ちゃんもう目ぇ覚ましてるし、お見舞いに寄ってあげて。」
「もちろん!」
にかっと笑ってみせると、奏里はホッとしたような笑みを浮かべた。
いつも飄々としているけど、こいつはこいつで大変なんだろう。
少しでも力になれたらいいと思った。
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