アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
友達のお見舞いに行ったらいきなり襲ってくる鬼畜野郎に恋してしまいました
8.
-
長い廊下を、西川が鼻唄を歌いながら歩く。
とんでもなく暗い旋律だな、なんて思いつつ、まるで何も抱えてません、みたいな足どりの軽さに少しいらっとした。
さて、どうするか。
本気で抵抗したら、普通に降りることはできると思う。
でも、あの奏里の信頼している(であろう)人なんだから、ここは大人しくしていようと決めた。
連れて来られたのは、診察室のような場所。
椅子が二つと、簡易ベッド。
それと、なにやら難しい表が写っているパソコンがあった。
「診察するから服脱いで座って。
上半身だけでいいからねぇ〜」
俺を下ろすと、西川は俺の顔も見ずにそう言った。
俺の身体に何か異常でもあるのだろうか、と少しだけ思ったが、健康的な生活をしているし大丈夫だろうと自分を励まして言われた通りにする。
西川は俺の身体を見て、ため息をついた。
「…こっち来てぇ〜」
隣の部屋に通されて、そこにあったのは身体測定一式だった。
病院って、こういうのも置いてるんだな。
「さぁ〜て、おチビちゃん?
身長測ろっか?」
満面の笑みで言われて、俺も満面の笑みで返す。
「 遠 慮 します♡」
なんだこいつは、人の傷を抉るのが趣味のドSか!?
気にしてる身長を明らかにして楽しいか!!
「えぇ〜?じゃあ目算で、150センチってことでいい?」
「んな!?さすがにもうちょいあるわ!」
結局俺が折れて、身長を測ることになってしまった。
「背伸びしないのぉ〜」なんていらっとくる口調で注意されて、バレたことに舌打ちしたりして。
「153.1…。
150と大して変わんないじゃ〜ん」
「馬鹿!!!
31ミリの違いはデカいんだぞ!?」
「はいはい。
じゃあ今度はこっち乗ってね〜。
153で設定しといたから」
「切り上げで、154になったりは…」
「しないねぇ〜。
ほら、早く早くぅ〜っ!」
指差されたのは体重計。
握力測定器なんかも周りにあったから、後で使わせてもらおう、なんてくだらないことを考えながら、いかにも高性能そうな体重計に乗った。
ぴぴぴっ、と体重計から音がして降りると、西川が出てきた色々な値をバインダーに書き留め始める。
喋り方とか顔立ちは医者っぽくないくせして、こんなときはちゃんと医者っぽい顔つきなんだな、なんてドキッとした。
__________ドキッと、した?
いやいや、何にだよ。気のせい気のせい。
ブンブンと頭を振り回していると、西川が俺の顔も見ずに言った。
「あ、診察室に戻ってていいよぉ〜。
すぐ行くから」
「ぅ、ウィッス」
1人で診察室に戻って、一つ気になったことを考える。
西川は、俺と目を合わせようとしない。
目が合ったのは最初のかなの病室でだけで、あとはやんわりと目を合わせるのを拒否されているような気がした。
あの、悲しげな瞳と関係あるのだろうか。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
9 / 56