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友達のお見舞いに行ったらいきなり襲ってくる鬼畜野郎に恋してしまいました
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晴との居残り練習も終え、そういえば今日は病院に行く日だった、と方向を変える。
面倒だから、服装は道着のままだ。
程なくして病院について、後片付けに追われている看護師の1人に申し訳ないと思いつつ声をかけた。
「あのー、お忙しいところすみません」
「あっはい、救急ですか?」
「そういうわけじゃないんですが…」
「でしたら、今日はもう閉まったので明日にして頂けると…」
やんわりと帰そうとさせられ、どうしようと逡巡していると、聞き慣れた声がかかった。
「すとっぷ〜。
ナナコちゃん、言ったでしょ〜。
今日診察が終わったらお客様が来るって」
振り返ると、やはり西川だ。
違うのは、今回は長い髪を束ねているという点だろうか。
その辺のチャラい奴らがやっても気色が悪いだけだが、妙にサマになっている。
…ただ、スポーツマンとしてはその髪型は受け付けないっ!!
「えっ!?
お客様って、高校生って話じゃ…」
「失礼な!!れっきとした17歳だっつーの!!!」
「えぇっ!?!?
し、失礼致しましたっっ!」
「ぷふっ」
「笑うなそこぉおおおぉぉ!!!
確信犯だろ!?そうなんだろ!?!?」
「やだなぁ〜人聞きの悪い。
とりあえずこっちおいでよ!
ナナコちゃんのことは許してやってね〜」
「ご、ごめんなさい、本当に」
「えっ? あっ…
こちらこそ騒いですんませんでした…」
「ほら、いいから行くよぉ〜」
手を引かれて、診察室の方に歩き出す。
こいつ、本当に俺のことおこちゃまとして見てるな…なんて卑屈なことを考えたが、口には出さなかった。
「まだ片付け終わってないんだぁ〜。
お茶でも出すから、これ飲んで待ってて?」
「…ん?
今から診察ってわけじゃないんすか?」
「違うよぉ〜。
食生活から変えようかと思って。
あ、今日泊まってもらうから親御さんに連絡しておいて?」
「泊まり? また急な…」
「ごめんねぇ〜。
事前に言えたら良かったんだけど、時間なくて。
これでも忙しいんだよ?
ほら、早く早くぅ〜。何ならちゃんとあいさつもするよぉ〜」
「説明面倒だから奏太の家に泊まるって言います」
家に電話をかけて、あっさりOKをもらう。
奏太の家に泊まるなんて言ったのは初めてだけれど、親はなにも疑問に思わなかったようだ。
一息ついて、机の上に置かれた紅茶を飲む。
ホッとする優しい味がして、思わず顔がほころんだ。
「おいしい…」
「…そう? 隠し味が良かったのかなあ」
しばらくすると何だか心地よくなって、まどろむように目を閉じる。
半分夢の中にいる状態で訪ねた。
「かくしあじ…? なに…?」
うっすらとした視界に映るのは、眼鏡を取った西川の姿。
初めて見たその眼鏡の奥の瞳は、悲しい色合いを帯びつつ綺麗に輝いて見えた。
その瞳がサディスティックに細められて、悪魔がひょっこり顔を覗かせる。
「睡眠薬だよ、ばーか」
その言葉を理解する間も無く、俺の意識は深く沈んでいった。
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