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友達のお見舞いに行ったらいきなり襲ってくる鬼畜野郎に恋してしまいました
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「うんめぇ〜…あったまるぅ」
「ふん…当然!」
西川は拗ねたみたいで、今まででさえ目を合わせようとしなかったというのに顔全体を背けるようになってしまった。
「拗ねるなよ」
「拗ねてないしぃ〜」
なんだか可愛い。
こんな大の大人に抱くような感想ではないけれど。
一口目を飲み込むと、丁度いいタイミングで二口目が寄越された。
「…自分で食えるんですけど」
こうナチュラルにあーんされてしまうと、なんだか照れる。
確かに身体を起こすのは辛いけれど、できないわけでもないのだから。
「…え?」
俺の不満を聞いた西川は、何故かすっと顔を青ざめさせて俺のことを凝視した。
昨日の夜ぶりに合った目の下にはクマが出来ていて、もしかしたら昨日は寝ていないのかもしれない。
「……なんで、」
いや、俺が聞きたい。
「違う、お前じゃ、ない…お前じゃないんだ」
「??」
酷く動揺した様子の西川は、雑炊をベッドサイドに置くとゆらりと部屋を出て行った。
…もしかして、西川の恋人とかと間違えられた?
だからあんな自然にあーんされたのか?
俺と西川の恋人が似てる、とか?
仮説は立っても、正解は出ないままだ。
少しすると西川が戻ってきて、手には服が握られていた。
「出てって」
「は?」
「この服、あげるから、出てって」
今度はこっちが驚く番だった。
「いや、ちょっと待てよ!
俺まだ動けねーし、いくらなんでも横暴…」
「そっか、そうだった…
僕が、出ていく」
そう呟くと、西川は服を俺の手の届く範囲に置いて出て行った。
「…仕事行ってくるから、動けるようになったら帰ってねぇ〜、
あ、お昼ご飯はお弁当玄関に置いとく。
鍵はオートロックだから気にしなくて大丈夫だよぉ〜」
最後に取り繕ったような笑みを浮かべた西川。
笑っていても俺には泣いているようにしか見えなくて、扉が閉まる音がやけに冷たく聞こえた。
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