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友達のお見舞いに行ったらいきなり襲ってくる鬼畜野郎に恋してしまいました
メリークリスマス!5
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最初のうちはガツガツと奏太と奏太のかーちゃんのつくったうまい料理を食べていたが、腹が膨れてくるとただ飲み物だけに手をつける。
「ふー、お腹いっぱい」
立食パーティーみたいな感じだったのだが、流石にたらふく食べると腹が重くて座りたくなる。
ソファに勝手に腰掛けさせてもらって、シャンメリーをぐびぐび飲んでいた。
炭酸は飲み慣れていないから飲みづらくてあまり好きではないが、初めて飲むシャンメリーは甘くて、でも少し苦くて、複雑な味わいが美味しかった。
シャンメリーは子供用のノンアルコールシャンパンみたいなもんだと思う。
だからこの苦味は、できるだけシャンパンに味を似せているんだろう。
「おかわり、どう?」
そう珍しく気を遣ってきたのは、西川だった。
「珍し、さんきゅー…」
そう言って空になった自分のグラスを西川の方に傾けた。
瓶からきこえるコポコポという音と、シュワッという炭酸の爽やかな音が聴いてて心地良い。
(______ん?
こいつが素直に優しいなんて、あり得なくないか?)
違和感に眉をひそめ、思い当たる。
(まさか、シャンメリーと見せかけてシャンパンを飲ませて酔わせよう、とか…!?)
見破ったり!そう思って西川が手にしている瓶のラベルを見ると、普通にシャンメリーと書いてあった。
なんだよ、取り越し苦労か。
必要以上に疲れて、注がれた液体を飲み干す。
なんだ、味も少しもさっきのシャンメリーと変わんないし。
いくら似せてあるとは言っても、これがシャンパンだったら少しは違いが出るだろう。
本当にいらない心配だったみたいだ。
西川は西川で、やはり大人だから子供の自分に気を遣ってくれたんだろう。
「良い飲みっぷりぃ〜。
あ、そんなに飲むならこの瓶、ここ置いとこうか?」
「そうしてもらえると、有難い…」
置かれた瓶を自分で傾けて、またグラスをあおる。
西川の機嫌がやけに良いのには気付いていたが、きっとこいつはシャンパンで酔って気分が上がっているのだろう。
「その瓶が空になったら、呼んでね〜」
そう言って、西川はまた料理を取りに食卓の方へと行ってしまった。
ちょっとした寂しさを感じるのは、クリスマスという賑やかな雰囲気の中で、独りでいるから。
きっとそう。
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