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逃避
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パタン
扉が閉まる音が聞こえ顔を上げると、軽くバスローブを羽織った男がこちらに歩いてきた。
「壱(かず)、ごめん、長風呂になっちゃった」
そう僕に声をかけ微笑む姿は、まるでサッカー部にでもいそうな好青年。この男を見ただけで30歳と誰が分かるだろうか。
「構いませんよ、菅井さん」
僕も微笑み返すと、菅井さんはタオルで軽く濡れた髪を拭きながら此方にくる。そして、薄暗い照明の中でも、互いの顔がはっきりと見える距離に来た時、
「壱、どうした?すごい汗かいてるぞ…?」
菅井さんは僕の顔を覗きながら、心配そうにそう言った。その声が、目の前の人が、なんだかとても頼もしくて、甘えたくなって…
抱きつくようにバスローブを握りしめた。
「壱…?」
「また、変な夢見ました」
「夢?あ、あの追いかけられる夢か」
バスローブを握りしめる手に力が入る。
そんな僕を見て菅井さんは、優しく僕の頭を撫でてくれた。
「大丈夫そうか?」
「……はい。もう大丈夫です、こうしたら…安心した。ありがとうございます。シャワー浴びてきますね、うぁっ!?」
そういい、立ち上がろうとしたが、腕を引っ張られたためバランスをくずし、すっぽりと菅井さんの腕の中に収まってしまった。
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