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向風
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「起きて、壱」
優しく揺すられて、目をこすると、内田さんはにこりと笑う
「……大丈夫?」
そう聞かれ、何が大丈夫なのか考える間もなく、身体に痛みが走った
「……っう」
「ごめんね、痛みでうなされてたみたいだから起こしちゃった、鎮痛剤打っといたんだけど、腰の傷が熱持ってきたみたいだね、服捲るよ」
そう言いながら、僕の腰に表面麻酔薬を塗っていく
冷たい手が熱い皮膚に触れ、少し安心する
「綺麗に痕残りそうだよ」
愛おしそうにその傷に触れる
ああ、名前彫られたんだっけ…
凄く嫌な事なのに、それがどうでもいい位に体が重い
「ぅ、ちださん…」
声を出して初めて分かった
喉も凄く枯れて痛い
「ん?」
傷を撫でていた手が、頬をなぞった
「からだ、だるい、です」
ふと内田さんは微笑む
「もう少し寝る?今夜に備えて、ね?」
「今夜…?ぁっ、んん」
覆いかぶさるようなキス
少し抵抗する僕に躊躇することなく舌が割って入ってきて、錠剤が押し込まれる
「菅井浩の名前は出さないこと、逃げようとしないこと、毎日俺とセックスすること。まずはこれから守っていこうか。」
「えっ、そんなっ…」
「守れるよな?簡単だろ?俺に従ってさえいれば、菅井浩を殺したりしない」
変わる雰囲気に身震いする
「躾部屋にだって行きたくないだろ?」
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