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策に嵌る 内田side
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BARからの帰路は到底穏やかではなかった
直ぐにかわる赤信号にさえ苛々した
思い通りにいかない
昔からそうだ
俺はっ…
「……くそっ」
まだ長い煙草を踏みにじった
壱を探し回っているやつがいる?
菅井浩に違いない
没収した携帯で、壱のフリをして送りつけてやったのに、信じていなかったのか
先ほどの男の言葉を思い出す
あいつは誘拐されたんじゃないかと疑っていると言っていた
冗談じゃない
俺から壱を奪ったのは、菅井のほうだ
今だって、壱はもうとっくに堕ちて、俺の手の中にいる
その証拠をあいつに知らしめてやる
俺は苛つきを跳ね除けるように、部屋の扉を勢いよく開けた
バンッと大きな音がして、起きていたらしい壱は、分かりやすく怯えた
その様子に舌打ちをする
堕ちてはいるものの、俺をこうやって、怯えたように伺うようにみる
ほんとうに欲しいものはそんな目じゃない
けれど、今はまだいい
俺に支配され、従ってさえいれば…
「あ、の…おかえりなさい…」
震えた声でそういう声に少し気をよくしながら、俺は壱に覆いかぶさる
そして小瓶を差し出した
「これ飲んで、全部、残らず」
その小瓶に見覚えがあるのだろう
この媚薬は2、3滴でかなり強力な効果があり、意識麻痺、つまり惚れ薬的な要素もあり、そして違法薬物でもある
客を選ばなかった壱にとって、ややこしい客に使われていてもおかしくない
「やっ…!」
ガクガクと震えて、暴れる
暴れたと言っても、かなり落ちた体力ではなんの抵抗にもならなかった
そのまま押さえつけて、耳元で無機質な声で囁いてやる
「飲め、でないと躾部屋だ」
掴んでいる手首から温度がなくなるのがわかった
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