アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
灰羽side14
-
電話をかけて10分後に救急車が夜久さんの家に来た。
俺は、ずっと夜久さんの隣で手を握り締めていた。
「すみません。心配なのは分かりますが、運ばないといけないので、手を離してくだいさい」
そう救急救命師の方にいわれ俺は、夜久さんの手を離した。
……また、俺の側から離れていっちゃうんスか…………?
………やっと、やっと…………………。
…………夜久さん…。
「すみませんっ!付き添い人は急いで乗ってください。」
俺は、夜久さんの家のまわりに沢山のヤジウマを睨み付けながら、救急車に飛び乗った。
……人の不幸を面白そうに見るなよ。
………ヒソヒソ夜久さんのことを噂するなよ………。
………なんなんだよ。その不幸そうな目は………。
お前らになんか今、俺が味わっている気持ちなんざちっともわからないだろ………。
「……夜久さん。」
口から出たとても小さな言葉に救急救命師の人は、夜久さんの応急処置をしながら、
『大丈夫ですよ。きっと助かりますから。』と言ってくれた。
………このどこに確信があるのか分からない言葉にさえ、今の俺は少し安心した。
いや、安心したかった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
174 / 234