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灰羽side19
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「そんなに俺が心配だったのか?」
不意に聞こえた声。
夜久さんの声。
しっかりと聞き取った。
え?夜久さんの声だよね……?
「?!夜、夜久さんっ!!!!良かったっ!痛いとこないですか?先生、呼んできますねっ!」
俺は、少しパニック状態で、夜久さんに声をかけた。
「待って!待ってくれ。」
「………?」
何でだろう?
俺の頭の中には、『?』が沢山飛んでいた。
それが分かったのか、夜久さんはゆっくり話し始めた。
「いままで忘れててごめんな。つらかっただろ?」
「………え?」
まさか……
まさかだとは思うけど……
「全部、全部思い出したんだよ。記憶が戻ったんだよ。リエーフ。」
やっぱり!
しかも、夜久さんに久しぶりにリエーフって呼ばれた。
嬉しい……。
「や、や、や……………夜久さんっ!!!!お、俺のこと思い出したんですか?!」
俺の声は室内に響き渡るくらい大きかった。夜久さんは、少し呆れたような感じで答えた。
「ってんだろ?」
その答えを聞いた瞬間、心に溜まっていたモノがスッっと消えていった。
「よ、良かった………。」
本当に心の底から思う。
「リエーフ、ごめん。ごめんな。」
夜久さんが謝ってきた。
でも、俺が今考えていることは……
「夜久さんが、無事で何よりですっ。」
俺は、言い張った。
それから、夜久さんが静かに呟いた。
「…………泣いてもいいんだぞ…」
でも、俺は泣かない。
夜久さんを守れなかった俺に泣くことなんて許されない。
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