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Ⅱ.. 狼は子犬
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やっとの思いで屋上につくと、子犬はいつもの場所で寝ていた。
そっと、ゆっくりと近付くが、目を覚ます気配はない。
いつもならすぐ起きるのに…。
寝顔はやっぱり幼い。
柔らかい銀髪に、そっと、触れてみる。
…起きないんだ。
そのまま撫でていると、ふと表情が和らいだきがした。
常に気を張っているんだろうな。
怖くて、寂しくて…
でも、どうしたらいいか分かっているはずだよ、子犬。
…それにしても、イケナイことをしてるみたい。
子犬の隣に座って、肩に頭を置いてみる。
こんなにも近くにいる、触れている。
僕もやられてるな、変な気分。
受け入れてもらえたみたいな感覚。
そんな訳ないのになぁ。
1人でもんもんと考えていると、暖かな体温に、日頃の疲れもあり、いつの間にか眠っていた。
目を覚ましたのは優しく頭を撫でられる感触と、チャイムの音が聞こえたから。
「…ん、ん?」
いや待て、チャイム?やばくない?
やばいと思っても寝起きの頭は働いてくれない。
ゆっくりと撫でるその手つきが、とても心地良くて…また寝そう。むしろ、寝てやろう。
「いや起きろ。チビ」
聞き捨てならぬその言葉!!!!
「誰がチビだ!子犬の分際で僕をチビ呼ばわりなん…て…」
目を開けると僕を見下ろす子犬の顔が見えた。
ここは、子犬の膝?膝枕してくれてる?
頭の処理が追いつかなくて、子犬を見つめて固まった。
「あ…、気持ち良さそうに寝てたから、起こすの悪いなって…」
顔を、耳まで赤くして教えてくれた。
「ぷっ、くくく…っ」
「なんだよ!」
「いや…可愛いなって…っくく」
「馬鹿にしてんだろ!!」
この前まで触れさせてもくれなかったのに。
心を開きはじめてくれたのかな?
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