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Ⅱ.. 僕らと1匹
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「あの、ありがとう、ございます。初対面なのに俺の事仲間に入れてくれて。裏部に入んの今知って戸惑ってるけど、楠久…先輩、を、泣かせたのは俺なんで、それはすいませんした」
な、な、なんて律儀な子なの…!!!
使い慣れていないたどたどしい敬語が保護欲を刺激する。
子犬ぅ、やっぱりいい子じゃないかぁあ!
「お前も一応なちの被害者だからな。謝らなくていい」
「待って、被害者って…」
「そうそう、もっと文句言ってやれ。子犬もこれからは裏部の一員なんだし、遠慮せず甘えてこい」
「ともくんかっこいいこと言ってるけど僕の事…」
相変わらずな僕の扱いにはもう目を瞑ります。
子犬は2人の言葉にどう返したらいいか分からないみたい。
ずっと1人だったもんね、急に温かく迎えられても戸惑っちゃうよね。
そんな微笑ましい3人を見ていると、不機嫌な天使に気付いた。
子犬から離れてくぅちゃんの元へ歩いていく。僕に気付くと顔を俯かせた。どうしたのよ。
「くぅちゃん…?」
声を掛けて手を伸ばした瞬間、勢いよく顔を上げたくぅちゃん。その顔はとても辛そうで、消えちゃうんじゃないかってくらい儚くて。
「僕は子犬を認めてないよ。なちが泣きそうだから許可しただけだ」
そう言って校舎へ駆けて行ってしまった。
伸ばした僕の手は行き場をなくし、落ちていく。こちらの様子に気付いて3人が声を掛けてくれたが、周りの音なんて聞こえていない。くぅちゃんの後ろ姿をただ呆然と見詰めることしか出来なくて、あんな表情をさせたことを後悔した。
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