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棚倉side②
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愛があれば……なんてこんな事を言うつもりはない。
だけど愛を感じられないというのは辛い時もある。
未だに俺は「好きだ」とも「愛している」とも言われていなければ、名前だって呼んでもらった事はない。
初めは側に居られるだけでと思っていても次第に欲張りになっていく。
今では隼也さんの心も身体も俺のものにしたいと思ってしまう。
そんな事…隼也さんの反応を想像しただけで怖くて言えない。
散々お互いを求めあった後は隼也さんが家まで送ってくれた。
…やっぱり家には行っちゃダメなんだ…。
今日はいつも以上に寂しさを感じてしまい離れがたかった。
「着いたぞ?降りないのか?」
「……」
俺には明確な答えが見付からない。
ずっと、こうしている訳にはいかない事は頭では分かっている。
だけどもう少し側に居たかった。
子供っぽいわがままだって分かってる。
その時隣から聞こえたため息。
俺の頭は一気に緊張状態へと変わる。
ヤバ…呆れられた…??…嫌われた!?
俺は怖くなって隼也さんを見る。
すると視線がぶつかり俺は目が離せなくなる。
「GW…一緒に京都行くか?」
「…え?」
「仕事も休みだし、丁度用事もある。用事はすぐに済むから…一緒に観光するか?」
え…何!?
隼也さんが旅行に誘ってくれた!?
今まで何処かに誘ってくれた事だってほとんど無かったのに…旅行に誘ってくれた。
俺は嬉しすぎる感情を抑えられない。
用事のついででもいい…旅行の間は二人きりなのだ。
俺は力強く頷いて車を降りた。
自分の部屋に入るとしばらくボーッとしてしまう。
隼也さんと二人きりで京都…。
俺は楽しみ過ぎてGWまでの一週間ずっと浮かれっぱなしだった。
旅行当日。
俺達は東京駅で待ち合わせた。
こうして待ち合わせる事なんて今まで無かったからすごく新鮮だ。
それ故緊張し過ぎて駅に着いたのは30分前。
俺は人待ちにはもってこいの場所を陣取り足元に荷物を置いた。
GWだからか駅には人が溢れていた。
恋人か新婚かは分からないがそんな若い男女から家族連れまで…。
みんなこれから始まるGWに胸踊らせ、笑顔がキラキラしている。
俺だってそうだ。
今日から始まる旅行が楽しみで仕方ない。
何よりずっと隼也さんと一緒に居られる。
俺は嬉しくて落ち着きを無くしていた。
「何ニヤニヤしてるんだ…気持ち悪い」
「っ!!」
隼也さんが近くまで来ていた事に浮かれすぎていて気付かなかった。
目の前に隼也さんがいると実感が沸くせいか更に幸せな気分になる。
きっとさっきなんかとは比べ物にならないくらいニヤニヤしてしまっているだろう。
そんな俺をよそにさっさと改札を入っていく隼也さんの背中を俺は慌てて追いかけた。
ホームで新幹線を待っている間も、移動中も、全てが俺のテンションを上げる。
そして到着したのは大きな旅館だった。
友達と来たら絶対こんな所泊まれないな…高そう。
「ここ知り合いの旅館で、忙しいのに何とか俺達の部屋を用意してくれたんだ。失礼な事だけはするなよ?」
「う、うん」
そうだよな…GWなんて忙しい最中だよな。
こんなすごい旅館に泊まれるだけでラッキーってね。
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