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棚倉side③
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「隼也ーーっ」
突然旅館から一人の女性が出て来た。
そして隼也さんに抱きつく。
その人はとても綺麗な人で、隼也さんは拒むでもなくただ好きにさせているという感じだ。
こんなに綺麗な二人が並んだらそれはもう絵になっていて、だから少し疎外感を感じてしまった。
「君が澪くん?」
その女性は俺に近付いてくる。
俺の身体は突如として緊張状態。
やっぱり女は…苦手だ。
「私ここの女将やってるの。今日はゆっくり温泉にでも浸かって楽しんで下さいね」
すごく綺麗な笑顔を向けられ俺は直視出来なくなった。
視線を合わせないまま「はい」と言うのが精一杯の俺に「荷物だけは運ばせてもらいますね」と声をかけ、その人はさっさと俺の荷物を持って行ってしまった。
「すごく綺麗な人だね」
「そうか?あれが知り合い。小さい頃家が近所だったんだ」
「それですごく親しそうだったのか…」
「なんだ?…妬いたのか?」
「ば、バカなこと言わないでよっ!!」
その通りだ。
俺はそんな妬ましい顔をしていただろうか。
俺の背後では楽しそうにしている隼也さんの気配を感じる。
どうせアンタは妬いたりしないだろうさ。
俺ばっかりが好きで悔しい。
けど、こんな思いのまませっかくの旅行を台無しにしたくない。
俺は気分を入れ替えて女将の後を追った。
「わぁーー」
案内された部屋はとても広くて景色も良くて、俺はまた元のテンションを取り戻した。
「ここはお庭が一番綺麗に見えるお部屋なんですよ」
女将は嬉しそうにそう言った。
確かに庭はとても綺麗に整えられていた。
こんなにいい部屋無理矢理用意してもらって本当に良かったのかなぁ。
「ここはお部屋に露天風呂も付いているので試してみて下さいね」
そう言って女将は部屋を後にした。
すると隼也さんがすっと近付いて来て耳元で囁くんだ。
―部屋に露天風呂だって…楽しみ―
そんな事を言われたら期待してしまう。
身体だけ求められるのは不安なくせに、やっぱり隼也さんに抱かれるのは嬉しいんだ。
それから俺達は近くを散歩しに出た。
だけど隼也さんは写真に夢中になって全然相手してくれなくて…俺は一人旅館に帰って来てしまった。
別に喧嘩をした訳でもないけど、部屋に居るのは嫌だったのでロビーで1人ため息をつく。
「あら…隼也と一緒じゃないんですか?」
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