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暗い朝
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風呂から出た僕は、なんとか歩ける程度には回復しており、深夜に一条と家に帰った。
母さんはもう寝ていた。
それを確認して、そっと安堵の溜息をつく。
僕も敷きかけの布団の上でいつの間にか寝てしまっていた。
翌朝、目覚めたのは6時半だった。
時計で時間を確認して、布団から跳ね起きる。
「やばっ…!配達が…」
新聞配達のバイトを無断で休んでしまい、慌てて受話器を手に取る。
電話に出たのは茂木さんだった。
「すいません!今日勝手に休んでしまって…。
ごめんなさい、寝坊してしまったんです…」
「葵くんが寝坊なんて珍しいね。まあそんなこともあるよ。他の人もいたから大丈夫大丈夫」
「ごめんなさい…」
「いいよいいよ。学校行ってらっしゃい」
「いってきます…本当にすいませんでした…」
壁に向かって頭を下げながら、向こうが電話を切るのを待って受話器を置く。
はぁ…何やってんだろ…
寝坊で配達を休むなんて…
他の人がいたとしても、それはつまりその人たちの仕事が増えたってことだ。
今度ちゃんと謝らないと…
寝坊の原因は昨日の行為による疲労だ。
それはハッキリしている。
まだ腰は重く、鈍痛が響いていた。
でもそんなのは言い訳に過ぎない。
朝から暗い気持ちで母と一条の分の朝食を作り、自分は何も食べずに家を出てきた。
…気分が悪い。
体は全体的に怠かったが、内臓の中に変なものが溜まってる感じがする。
朝から酷い吐き気がした。
いつもは酔わない電車にも酔ってしまい、駅のトイレでとうとう吐いてしまった。
吐いたと言っても何も食べてないので、出てきたのは胃液だけだったが。
学校に着き教室に入ると、既に潤がいた。
目が合って思わず逸らしてしまったが、潤はこっちに歩いてきた。
「お、おはよ」
いつも潤から挨拶してくれるのに、今日はしてくれなかったので恐る恐る挨拶をする。
「…なあ、昨日の男、誰?」
挨拶には応えなかったが、怒っている訳ではないのは声色で分かった。
こっそり深呼吸をして、怪しまれないように口を開く。
「…母さんの、友達だよ。昨日も言ったろ?」
目を合わせるのが怖くて、カバンの中を探るふりをしながら視線を下げた。
「嘘じゃないよな?」
「…嘘じゃない」
「なら…なんで目合わせないんだよ」
「っ…別に、そういうつもりじゃ…!」
顔を上げて潤の目を見ると、その目は悲しそうな色をしていた。
なんで、そんな目するの…
「…僕…用があるから…」
合わせたばかりの目をまた外し、踵を返して教室を出た。
また逃げるのか。
心の中で誰かが囁く。
でも、僕にはそれしかできないんだ…
その”誰か”の声は、頭の中から掻き消した。
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