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告白 (葵side)
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潤はやっぱり優しくて、僕のことを気持ち悪くないと言ってくれた。何も悪くないのに、今まで何も聞かなくてごめんと言ってくれた。
でも優しすぎる彼に打ち明けてしまった今、途端に自分が居た堪れなくなった。
謝ってほしかったんじゃない。
だが現に今、僕は潤に謝らせてる。
何も悪くないのに、関係ないのに、友達なのに、彼に余計な後悔を背負わせている。
同情して欲しい訳でも、増してや共感して欲しい訳でもない。
僕は何がしたかったんだ。何を求めていたんだ。
潤は僕を受け入れようとしてくれている。
だがたとえ受け入れられても、今までの関係には二度と戻れないだろう。
今まで心地よかった場所がそうでなくなるのが怖くて、身勝手な話だが自分から離れようとした。
しかしそれは潤のたった一言に止められた。
「好きだ」
突然言い放たれたその言葉に耳を疑い思わず振り返ると、潤が目の前に立っていた。
そして潤の両手が、包み込むように僕の体をきつく抱きしめた。
「ずっと前から葵のことが好きだった。
葵は俺を友達としか見てないだろうから言えなかったけど、もう友達にも戻れないなら今言うよ。
俺は葵のことが好きだ」
僕を包む潤の体は硬く強張っていて、胸からは心臓の鼓動が大きすぎるくらい聞こえてきた。
嘘じゃないんだ…
信じられないのに、潤が嘘をついていないことは聞かなくても分かる。
…でも駄目だ。
「……僕は潤のことをそういう目で見てない」
「それでもいい。でも、俺の気持ちは変わらないから…行かないでくれ」
「…男に何度も抱かれたんだよ」
「関係ない」
「応えられないかもしれない」
「諦めない」
「っ、僕を好きになっても…潤に良いことなんてない…!」
「もう好きになっちゃったんだからしょうがないだろ。誰に否定されても、俺は葵が好きだ」
何を言ってもすぐに言い返され、もう何も言えなくなってしまった。
なんで、なんで、なんで……僕なんか……
『あんたなんか生まれてこなきゃ良かったのに』
母さんが何度も僕に投げつけた言葉。
僕自身もそう思っていた。僕がいなければ父さんは死ななかったかもしれない。母さんは幸せになっていたかもしれない。
"望月葵"は、親にも、自分にも必要とされない。
でも今、僕を求めてくれる人がいる。
それは自分でも家族でもない、友達という他人。
自分には贅沢すぎる気がするが、それでも嬉しく感じている自分がいて。
今日は16年近いの人生の中でも酷く慌ただしい1日だったから、いつもにも増して何かに飢えていたのかもしれない。
枯渇していた心がじわじわと満たされていく感覚に目を閉じる。
そうか、僕は……愛されたかったんだ…
気づけば僕の手は、潤の背中に回されていた。
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