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「そろそろ食べ頃なんで」
小鍋の中のハヤシライスは、弱火で温め続けてかなりたつ。(なぜか古いアパートのわりにIHだから、火加減はバッチリだ。)いい匂いがこちらまで漂ってるし、もうすっかり玉ねぎにも牛肉にも火が通ったころだ。
「量が量なんで、しばらく続くと思いますけど」
当然、作ったあとは二人で一緒に食べるつもりだったから、二人前。それに作りおきに残しておくつもりの分もあったから、かなりの量だ。
「勿体ないから食べちゃってください」
食べ物を粗末にしない、そこは蒔田と深山の大事な共通点だ。
「え、どういう」
深山が蒔田の意図を汲みかねて、少し慌てたように、向き合った上背のある後輩を見上げた。
「ふわふわの卵は、また…今度にしましょ。」
蒔田は、今日は帰ると言外に言う。
買ったばかりの1980円のフライパンが、活躍するときは残念だけどこなかった。
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