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「よぉ、マキ」
出だしから不穏だ。
この声は、恐いときの柴田先輩、だ。
蒔田が母校の野球部で現役のとき、普段はにこやかで温厚な柴田が、たまにめちゃくちゃに怒る(もちろん、理不尽なものではなくて、原因は大抵後輩たちの態度や姿勢の問題だった)ことがあって。
その時の声色に似ている気がする。静かだけど、ことと次第では爆発しそうな熱を潜ませたような声。
「はい」
蒔田の背筋が無意識のままのびる。
「お前、ミヤちゃんとケンカでもした?」
「え」
ケンカとか、絶交とか、柴田のそのあたりの言葉選びは、さすが深山の幼なじみだ、と思って。
また深山のことを考えてる自分が嫌になる。
「ケンカってものじゃないですけど…」
なんと表現していいのかわからず、曖昧に返す。
そもそも二人が付き合ってることすら柴田は知らないのに。蒔田が先走って、深山を押し倒して、うんぬんの流れを説明するのは難しすぎる。
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