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そして、いよいよ話の核心に触れそうなときに。
あののんびりとした音楽とともに、駅にもうすぐ着くというアナウンスが流れて、周りのサラリーマンたちが、次々に身じろぎするのが気配でわかる。
酔って熟睡しているようにみえても、こうやって自分の降りるべきところで目を覚ます、悲しい企業戦士たちの姿に、改めて自分達の場違いさを感じた。
「…話の続きは、家で」
さすがに人の出入りが増えそうになった今、このまま続けるわけにはいかない。TPOをわきまえなくては、と思うくらいには。蒔田も深山も、我にかえっていた。
「寝てていいですよ…どこにも行きませんから」
降りるべき最後の駅まであと二駅。実質30分くらいの仮眠を促して、投げ出された深山の手を、見えないように二人の身体のすきまで軽く握った。
深山が、嫌だって言わないなら。自分から離れるようなことはしない。そう、決めて。
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