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地元駅に待ち受けていた身内と、そこに当然のようにスタンバってた幼馴染みとともに、病床を見舞ったときには。
いますぐの危機は脱したとはいえ、深山の頭の中にある姿とはかけ離れて痩せ細った、祖父の姿があった。客観的に見ても、身内の贔屓目を加算して見ても、もう残りの命が長くないのは明らかで。
そこにきて、言われたのが、
「おじいちゃんね、ずっとあなたの野球する姿をもう一回見たいって言ってたのよ」
っいう、深山に打撃を与えるものだった。
つまり、ずっと帰省してこなかったことや、頑なにグラブを持たなかったことをひっくるめた、家を出てからの数年を、深山が深く後悔するには充分なものだった。
「俺は、俺の意地だけで、なんてことしたんだって思った」
今も、その時を思い出したのか、深山は目を伏せて噛みしめるように言う。
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