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「友達、だよな。俺たち」
また、深山はニヤリと笑う。蒔田の頭の中で「心の友よ!」と叫ぶジャイ◯ンの声が響いた。
「…です」ノーと言えない日本人、のつもりは今日までなかったけれど。
「うち、ここから遠いですよ」
「でもマキは帰るっしょ」
「まぁ、そうですけど」
嫌なわけじゃない。嫌なわけじゃないけど、この流されっぱなしな状況に少し抵抗したくて、蒔田は言葉を繋げた。
「狭いし」
「んなのどこも一緒じゃね」
「きたな…くはないか」
「なんだそれ」
謙遜するにしても汚いとはいいたくない。自称きれい好きとして。1DKでロフトつきなのも、独り暮らしの学生にとったら贅沢で、狭くもないかもしれない。
汚くないならいいじゃん。深山はうれしそうに目を輝かせた。すでに深山の中で蒔田のアパートに行くことはほぼ決定事項のようだ。
(俺が彼女と同棲してるとか、そういう可能性を考えたりしないのか)いやないけど。断じてないけれども。
「おねがい」
新幹線乗ったし、バイト代入るまでキツイ。この人に、そんな風に手を合わせて頼まれたら断れる人がいるんだろうか。
「…仕方ない」
「やたー!」
宿を確保した喜びただそれだけなのだが、無邪気にはしゃぐ深山に、蒔田は目を細めた。
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