アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
25
-
ここまで来ておいて、いまさら。
「いっすよ、もう」
答える蒔田に、小首をかしげて見上げてくるのも、さっきの「ごめん」の語尾が疑問形なのももう、どうしようもない。
わかっててやっているのか。…たぶん違う。
でも、元高校球児にする形容じゃないし、こんなこと言っていいのかわからないけど、率直にいえば、かわいい。
そして、格好いいとか、かわいいとか、と言われ慣れてるんだろうな、という感じが深山の言動からにじみ出ていた。
高校の頃だけじゃなく、今だってモテるんだろう。たとえば年上のオネーサンに。蒔田は、なぜかそんな自分の想像に、高校の頃のやっかみとは違う、別のいらつきを感じた。
それを深山に気づかれないように、なるべく言葉に温度を持たせないように答える。
「いっすよ、もう。乗り掛かった船というか。毒を食らわば皿までというか」
「なにそれ。わっかんね」
「意味はないです、たぶん」
それからちょっと仕返ししてみたくなって、蒔田はニヤリと笑いながら隣に言ってみた。
「…いや。せっかく仲良くなれたし、このまま駅でさよならにならなくて良かったです。逆に」
早寝の大家さんに感謝しなきゃ。そう付け加えると、深山は大きい目をさらに見張って、それからあの、斜め下からのいつもの顔で、ニヤリと笑った。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
25 / 360