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「…ミヤさんは何聴いてんすか?」
「ん」と深山が左耳にしていたイヤフォンを差し出されて、条件反射で受け取る。
流れてきたのは、やさしくて、でも力強くのびのある歌声。蒔田もよく知る女性ヴォーカル。の、中でも結構好きな方の曲。悲恋の歌。
「お、ドリ◯ム。いいっすね。歌詞がとくに」
「うん」
コクン、とうなづいた深山の口元は歌詞を小さく口ずさんでいる。細い声は、普段の声より高めだった。しかもけっこう上手い。顔も良くて歌も上手くてオールマイティーか。
黙って聴いていた蒔田はしばらくして、はた、と気がついた。二人でイヤフォンをシェアするのは普通なんだろうか。しかもヤロー二人で。
「ありがとうございます」
慌ててイヤフォンを返して、居ずまいをただした。無意味にキョロキョロして、あと二駅っす、とか聞かれてないことを答えてみる。深山は聞いてるのか聞いてないのかわからない適当な相づちを返してちらりと窓の外を見た。
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