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なんて答えるのが正解なんだ。
そもそも、自分と同じヤローにこんなことを聞いて、深山はどうしたいんだろう。どきどきされて、深山は困らないのか。
「…しません」
蒔田が、空いた方の手で目の前の鼻をつまんで答えると、深山はくはっと息を吹き出した。
よかった。普通の声が出た。
「残念」
深山は面白そうに黒目を瞬かせた。その目のなかにどんな風に写っているんだろう。
「仮に…どきどきしたとして」
何もしないですよ、ジェントルマンなんで。蒔田はそう言って身を起こす。出会ってその日に家に連れ込んで、何かあるなんて、手を出すなんて、肉食系を通り越してとんだ野獣だ。
仮に、と言ったけど。どきどきの定義が、心拍数が上がって、背中に変な汗をかくことだとしたら。今、どきどきしていないことにはならない。だけどこれは絶対に秘密。
「つまんねーの」
草食系か。深山はそんな突っ込みをして蒔田に手を伸ばした。これは、「起こせ」という意味。
「あたくし。ハジメテのデートは手繋ぎまでってきめてますの」
蒔田は茶化して言いながら、今度は負けないように腰をいれて、深山の手をつかんで引き起こす。
蒔田より体温が低いのか手が冷たくて気持ちいい。緊張して、手あせをかくタイプじゃなくてよかったと、心から思った。
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