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一緒に初めて過ごした夏休み。
東京の酷暑は、私の学力増強に芳しくないと祖父の意向で、私達は、ほとんどの休み中を、高原の以前は私の家族で来ていた別荘で過ごすことになった。
屋敷で私の世話をしてくれている数人の使用人と家庭教師達で。
来た面子の大半は、近くのホテルを借りてそこを宿舎にし、通いで。
別荘には、私と千色とロコ。あとは家政婦頭の老女ミナと庭師であり下男のミナの夫だけが別荘に暮らす、少し大きな一般家庭並みの建屋は、ますます私達の心の垣根を払った。
毎年、私が避暑に来るようになるのだからと、家族で来ていた頃よりも手を入れた室内だったが、部屋の趣までは変わらず、来て少しの間、傷心する私にそっと寄り添ってくれたのは、やはり、千色。
ぽつぽつ話す私の思い出話にも、根気よく付き合ってくれた。
2階は私の勉強部屋と寝室。その隣の小部屋を千色は与えられ。
普段は1階のリビングで、家庭教師を挟んで二人ともに勉強に励んだ。
屋敷ならば、母屋と使用人棟に遠く部屋を隔てられている環境とは違い、四六時中、私の傍に千色は居て。
食事も、コックを連れて来ていないからと、家政婦の作ったものを、ダイニングの同じテーブルに並んで、同じ普通の料理を食べられた。
1階は大きなリビングとダイニング以外は水回りで、2階にはあと二部屋余っていたけれど、ミナ夫婦は庭の離れの使用人用部屋で休んでいた。
古い家を買いリフォームした物件を家族で利用していた頃と間取りは変わらず、私の寝室になる部屋は、以前も両親の寝室で。
今回余させた個室を私の部屋にしていた時から、この建物の古さのせいか、ここでだけは一人寝が怖くて、恥ずかしかったけれど両親のベットに潜り込んでいたから、懐かしい気もするのに。
都会育ちの私には、田舎の高原の古い家の佇まいや鬱蒼な森林の気配は、やはり落ち着かなくて、初日をほとんど眠れずに過ごしてしまい、それを、なんだか眠たそうな千色に打ち明けた。
「僕も怖くて、こっそりロコをベッドに抱っこして眠ってしまいました。いつも起きて鳴いて遊びたがるから付き合っているうちに、眠り損ねてしまったんです」
「いいなあ、今夜は私にロコを貸せよ」
「いけません。動物をベットに入れてはいけないと、叱られるんですよ。あ・・・」
屋敷で、ロコは、毎夜、千色の部屋にあるゲージで眠ることになっていて。
昼間は私の部屋の勉強部屋にいる。
学校以外の用事がない場合、ロコの世話係の千色は、私の勉強部屋に詰めている。
飼いたての頃、可愛くて、私がベッドに入れようとしたら、周りの大人達にものすごく咎められた。
小さい子犬のロコは寂しがりで夜鳴きをするからと言ったら、千色の使用人部屋に夜は行くことになった。
「いつも起きて遊びたがるの?」
「え・・・あ、あの・・・」
「ミナに言いつけてしまおうかな。千色はロコと眠ってるみたいだよって」
とぼけてしまえばいいのに、素直な千色は真っ赤になってしどろもどろになるから。こっそりはしょっちゅうしていることなのが分かってしまって、からかう。
「・・・・・・お願いです。言わないで下さい」
「じゃあ、今夜から、私のベッドにおいで?」
「え?」
「朝、大人が目覚めてやってくる前に、部屋に戻っていればバレないよ。ロコと千色と私。私達しか、夜中にこの建物にはいないんだから」
でも・・・と惑う瞳が可愛らしくて。
何故だかすごくドキドキしたけれど、必死に平静を繕って。
小さく頷いてくれた千色の髪が揺れた時の、幸福感を私は忘れられない、未だに。
夜、興奮して、お喋りをしたりするから、寝不足が続いて。ほんの数日後に、ミナにバレ。
ミナは動物だけは、衛生的ではないからダメと、ロコだけ、ゲージに入れるならばと、ここにいるだけの間は共寝を許可してくれた。
毎晩、抱きしめて眠りたかったけれど、千色はあまり体に触れられることを好まないことを、この時に知った。
私を抱きしめてくれることは、本当に特別、私が弱った時にしかしてくれない千色の奉仕だったのだ。
近所に、プール付の別荘を持つ同年代の子が来ていると、ある日、家庭教師の一人に教えられ、向こうの子の家庭教師が友人なのだそうで、交流を持つことになり。
水着を持たずに来ていた私は、一般の観光客が沢山いる街中まで、買い出しに行こうと、千色を誘う。
「僕は、泳げないのでいりません」
「ならば、私が教えるよ。一緒に水着を買いに行こう?」
「ごめんなさい、泳ぎません」
弱り果てた顔で、千色は頑なに、泳ぐことを拒んだ。
プールに行く日も、ロコと留守番をしていると、言い、来てはくれなかった。
学校でプールの授業はどうしているんだろうと思ったが、私は、久しぶりに、同年代の活発な子供達が大勢いるらしいイベントに行くことを選んで、忘れてしまった。
遊び疲れ、日焼け止めも塗らずにいきなり焼いてしまった肌が、ひりひりして、身体がうまく洗えなくて。
ミナは大笑いをし、千色に、私の入浴を手伝うように言い、自室に下がってしまって。
夕食後に、風呂場に向かうと、とぼとぼ着いて来た千色が・・・・・・何故だか、困っている。
こすれる背に悲鳴を上げつつTシャツをやっと脱いで、顔を出す。
「千色?脱がないの?」
私はすでにボクサーパンツ1枚で。
「新さまの・・・お背中を流すだけでいいですか?」
「なんで?一緒に、入っちゃおうよ。男同士なんだし」
「・・・・・・お母さんと、神父さんに、約束したんです」
「なにを?」
千色は、俯いて、今までにない早口で言う。
「裸を誰にも見せないって、ゼッタイに」
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