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頑なに、裸を見られまいとする、千色を訝しんだけれど
その頃の私にとっても、千色は特別で大切だったから、嫌われてまで意思を通す気になれず。
千色の秘密は、私が肉欲に負ける14歳の春まで、暴かれることはなかった。
卑怯者な、私は、ささやかな給金として至急される小遣い銭ほどの金を貯めて、4月のただでさえ高い時期の花束を買って、祝ってくれる誕生日の寿ぎをする小さな唇を奪い。
「この程度の、プレゼントでは不足だ」
と、言い放ち。
「お前の身体をくれ」
と、求めた。
祖父が私に中学入学と同時期に始めさせた、「帝王学」の一環で。
私は、将来、会社を継ぐ者として、恥ずかしくない一通りのことを一流にしなくてはならなくて。
ある日、ニヤけた祖父が、ある美しい若い女性を講師に連れてきた。
「今日から、この彼女と、数日ホテルに泊まってもらう。彼女の講義は一流だが、この講義は両刃の刃でな。
あまりのめり込まれては困るのだ。その辺りを心得てするように」
何のことはない、授業内容は、セックスだった。
色事の面で、恥をかかないように、教えを乞うための教材。
まあ、年頃の私に、性への関心がない筈もなく。
テクニックを学びながら、名前も知らない彼女を抱いた。
及第点が出ても、そこらで下手な雌猫に引っかかるのは困るからと、性欲処理にその後は呼び出していい女を私は中学校1年で持ったことになる。
彼女を抱きながら、私の脳裏には、いつもちらつく影があった。
初めての夏の旅行以降、私は、祖父に願って、千色と共に休ませてもらえるようになった。
この講義の為に、家を空ける私を、どこか寂しそうに見送ってくれた千色の姿。
千色は知らない講義の内容だけれど、いつも何故だか彼に後ろめたい気持ちがした。
それを講師の女性に、祖父には内緒でと、千色であることは勘付かれないように上手く誤魔化して相談する。
「坊ちゃまは、その使用人に、恋をなさっているのではありませんか?」
「恋・・・とは?」
「ワタクシを抱かれる時に、感じるものを何とお教えしましたか?」
「肉欲?ですか?」
「ええ。抱きたいと思われたことはありませんか?ワタクシとのようなことをしてみたいと」
・・・・・・私は、この女を抱いた時から、千色の影を重ねていたから、息を吞んだ。
豊満な体で、多分、20代後半の彼女は。
一見似ても似つかないようでありながら、面差しがどこか・・・似ていた。
しばしの間、私は、正常の男子が抱いていい感情ではないことに悩み。
だが、大して日をおかず、彼女へ
「その使用人は、男なのだ」と告げ、彼女は心得たように、
その次回の講義に知人男性を伴った。
私は、その者に、男性同士の睦言を学ぶ。
熱心に、殊更、熱心に。
千色を傷つけたりするのは嫌だったから。どうしても。
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