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もう・・・
本当に限界なのだと思う。
私の手におえない何かが
最愛の千色を蝕んでいる。
それは、唯一の私の天使を
永遠の園へ、連れ帰ってしまうかもしれない危惧。
私より、必ず早く起きて、ロコの散歩を終え、
普段着に与えている、お仕着せの執事風の服装で。
判で押したように、定時の7:30、
千色はロコを抱え、共に、私の起床後の世話に訪れてくれる。
隣で休んでいた筈のぬくもりが
いつだってそうして現れるから
酷く抱いて、襤褸雑巾のようにぐちゃぐちゃにしてやったことだってあるのに
痛む身体をがくがくさせて、同じようにするから
罪悪感で、そんな無体はできなくなったっけ。
昨夜の痛みに歪んだ面影も見えない千色を、ベットに座らせた。
「ちぃ。今日、私は学校に行かない」
「新さま、どこかお加減が宜しくないのですか?」
「いいや。私はどこも悪くない。お前を病院に連れて行く」
服が擦れるだけで痛いのだと苦笑した、胸部を押さえつけるベストを脱がせる。
白いワイシャツだけになった千色の
少年にあってはならない、胸のささやかな隆起。
「お前の身体の異常を、これ以上放置してはいけない。調べてみたんだ、男子の第二次成長期に、一時的に胸が出てくる人もいるらしい。ただそれが一過性で、すぐに、胸筋の一部になって、固く男性らしい体付きに変化していくんだそうだ」
「・・・新さま、いやです」
「お前のは・・・だんだん柔らかくなっていってるんだよ?しかも、これはそろそろ女性の下着を着なくてはならないくらいまで大きくなってきている。毎日、胸を痛いのに潰したコルセットをして、学校に行っているのを私が知らないと思っているの?」
シャツの釦を外そうとすると、千色は抗い、
ロコも何事かと怯え、置かれた床に伏せていた身を起こし、キャンキャン鳴き出した。
「お願いです、やめて、止めて下さい」
「襲おうというんじゃない、見せてごらん」
淡い光の中でしか見たことのない千色の胸部を朝日の日の下に晒す。
薄いアンダーシャツ越しに、子供用のお椀くらいの小さな膨らみに
大きさも色味も、咲き初めの紅梅のような、薄い桃色の乳首が透けて見える。
両腕で、胸を隠す千色のそれもまた、第二次成長期の変化が終わろうとしている私にはない
白く柔らかな筋肉がついていた。
「なるべく、都内でも私たちの住まいから遠い所へ。そうだね、どこかの大きな総合病院に行こう。お前の身体の病は、きっと、小さな一所でわかるようなものじゃないと思う」
「私は、病気ではありません。どこも悪くは・・・・・・」
「病気かどうか、きちんと調べてもらおう。誰も、私たちが何者なのかわからないようなところならばいいと思うんだ。お前が嫌なら、その胸だけでも見てもらおう?」
嫌々と首を必死に振る千色を抱きしめる。
「ちぃが、もしも病気で、お前まで私の傍からいなくなるなら。私は死ぬよ」
千色が動きを止める。
「本気だよ。お前が私を生かすも殺すも出来る唯一の人なんだ」
「あら、た・・・さ、ま?」
「ちぃ。私の為に、調べてもらおう。お前の身体のこと」
卑怯な手だと思う。
しかし、どんな手段でも千色にとって、これ以上の拘束力がある言葉はない。
千色が、しくしく泣き出してしまって。
私達は、朝食も取らずに、そそくさと着替えをし、家人に隠れて家を後にした。
目算は、した。
屋敷から一番遠い大学病院に行こう。
紹介状もない、高校生と中学生。
いつ、診てもらえるかもわからないし、どの科に行くべきなのかもわからない。
千色の保険証も私のも持たないで、自費診療してもらう為に、所持金も多く持った。
私がインターネットや書籍で調べた、ささやかな知識では
きっと、成長ホルモン異常とか、そういうことなんじゃないかと思っている。
千色は黙っていてもいいように、私がすべて代わりに答えて、
しかるべき医師にだけ、千色の・・・秘密の身体を見せようと決めていた。
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