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◇◇◇◇◇
存外、邪魔立てされず、あの日の夕刻には、懐かしの実家にいて。
住み込みの馴染みの庭師が、きちんと管理していてくれた家屋は昔の儘。
寝具やなにやらも、彼にかかれば、すぐに揃えてくれて。
私達は彼に感謝して、私は生まれて初めて、スーパーの惣菜とやらで
コンビニのお握りを主食にした夕餉を頂いた。
私の選んだ、家政婦二人の人事を、千色はとっても喜んだ。
「あかねちゃんは、僕より二歳年長で、優しくてすごく手先が器用なんです。
いつか、お金を貯めて、お裁縫の学校に通うのが夢なんですって。
あと、その方は、小百合さんって言います。その方は、コックさんになりたくて
学校に通っていらしたんだそうですが、お父さんの事業が失敗して学校に通えなくなって
料理の勉強が働きながらも出来そうだからって、厨房の住み込みで働いていたんです」
2人とも、大好きです。って嬉しそうだった。
事実、私も人を見る目が育っていたそうで、小百合とあかねは、夜半前に、
大荷物を持って、屋敷に訪ねて来た。
迎えに出た千色を、二人に与えようと思っている使用人部屋に連れて行き
暫くして、大荷物のすべてを千色に渡し、明日の夕刻に引っ越してくると帰って行った。
私は、連れ去られた、千色が何かされたのではと、不安で居間で待っていたら
大量の荷物を持って、恥ずかしそうに、千色が戻って来た。
・・・・・・スカートを穿いて。
「あかねちゃんに、見立てて貰ったんです。組み合わせ、可笑しくありませんか?」
少し肌寒かったから、モヘアのクリーム色のカーディガンを羽織り、
中にはブルーのチェックの裾丈の長いフレアーワンピースを着ている。
「とっても、可愛らしいと思う。ちぃは嫌だった?」
「嫌というか・・・足元がスースーします。でも・・・」
「でも?」
「生理中は、スカートの方が楽なんだから、慣れなさいって」
な、なってしまったのか?!
私が目を剥いたのが分かったのか、千色が柔らかに笑う。
「おりものが出たってことは、近いうちになる筈だって。
下着にあてるものの扱い方も、習いました。阿川先生に習おうと思っていたんだけど
大旦那様のご命令だって、小川さんが急に退院させちゃったから、習い損ねてしまってて。
本当に、新さまには、感謝いたします。小百合さんが仰るには、あれで汚してしまうと
お洗濯が大変なのだそうです。恥ずかしいことにもなるって習いました」
荷物を持って、千色の部屋へ運び入れてやる。
ここは、私が、家族で住んでいた頃に、私室の寝室に与えられていた部屋だ。
ベッドも、私の使っていたもの。末っ子の私のは8畳の洋間で、勉強部屋が別にあった。
日当たりもいいし、私の書斎と寝室とは目と鼻の先だ。
千色は固辞したが、私も譲らず。
大量の荷物の片付けを手伝った。
恥ずかしがって、私から隠そうとした、ブラや他の下着や洋服。
肌の手入れに必要なのだと、押し付けられた基礎化粧品。
なぜか、大判のバスタオルなんかも数枚あって。こんなもの、家にもあるのに。
「女性は、生理の酷い日の夜は、時々、失敗もしてしまうから、
ベッドのシーツの上に、何枚か敷いておくといいそうです。勉強になりました」
私があたふたするのが、変なように思える。
千色は、自分の半分が女性だってことを、きちんと受け止めるつもりなんだ。
「新さまが、家では窮屈なものを着ていなくていいと仰って下さったから
そういうものを重点的に、買って来て下さったんです。いい方達です。
僕は、本当に幸せ者ですね」
私の書斎と寝室にしたのは、両親の使っていた場所。
掃除が行き届いていて、居心地がいい。
ありのままの、千色で、私で、いい場所に、私達は暮らして行こう。
夜半、勉強をすると書斎にこもる私に、千色がカモミールティーを持って来てくれた。
一緒に飲みながら、ご相談があると、私に言う。
「僕は、来月から中学3年生になります。今月は、学校に行かなくてもいいかなと思っていましたが
どういたしましょうか?義務教育って、受けないと、いけないのですよね?」
いかん、すっかり、その問題を忘れていた。
千色の通う中学は・・・・・・先日、私の卒業した男子中学校だ。
中高一貫の、超進学校で・・・もちろん、生徒は男子のみ。
まず・・・まずいな、それは。
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