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「ご心配おかけして申し訳ございませんでした。僕はすっかり元気です。
小百合さんが、調子がいいなら、天気もいいし、ドライブに出かけようかって」
「私は構わないよ。あ、でも、ダメだな」
「え?どうしてですか?」
「ちぃ、夏休みの課題を、何もしていないのではないか?少しは始めないと」
「う~、そうでしたね。新さまは、いかほど進まれましたか?」
「私は、誰かさんが眠り姫だったから、時間が有り余って粗方済んでしまったよ」
あまりに、千色の足元にじゃれ付き過ぎて、歩けなさそうだから
ロコを抱き上げてから、意地悪を言ってみた。
「狡いです、ご自分ばかり~。僕、やっと、色々遊びに行けるって楽しみに御飯も頑張って食べたのに」
「じゃ、これから、弁当の支度を頼んで、見晴らしのいい丘の草原に行くとして。
準備ができるまで、私が先生になるから、みっちりお勉強をしようか?」
「はい。宜しくお願いいたします。新先生は少し荒っぽい授業だから、気を引き締めなくちゃ」
「私が、かい?荒事をしたことあったかな?」
先を少し歩いて、千色が振り返る。
「・・・過度に、お触りが多いですから。困ることがあるんです」
おや、私は、ご褒美のつもりだったんだけど。
何を思い出したのか、少し顔が赤いね?
「集中できなくなりますもの。教えていただいた後、ちょっと難しい問題が解ける度に
髪や額や頬に、キスなんかなさるから・・・ドキドキしてしまって、覚えたことを忘れそうになります」
花壇に開いた百合の花弁を撫でて拗ねる姿が可愛らしい。
全体的に白い服を着た千色と、百合とで、緑の風景にあると、一枚の美しい絵の様だと思う。
「おいで、ロコ!新さま、大丈夫ですから、リードを離してあげて下さい」
私の握っていた細いリードを外してやれば、一目散に千色の元へ駆け出し、
走り寄ったロコと千色は、じゃれ合って走って跳ねて、楽しそうに遊びだした。
もともとスポーツだって人並みにする彼は、こうして活動的に過ごすことを好む。
ただ、体系的な変化が、人前で、身体を動かすことで、視線を集めるのが好まないだけで。
小さな胸の膨らみが、揺れると痛むのだとこぼしていたのは、落ち着いてきたようだ。
ここには、テニスコートもあるし、この夏は、千色の体調を見て、一緒にやろうと誘うつもりだ。
早速、使用人達3人は、コートの点検と称し、下準備をし、今頃プレイを楽しんでいることだろう。
私を興奮させるような言葉を時々吐く千色は、困ったことに花見の宴の後も
それからの日々も、私の寝室へ夜半に訪ねてくれることが無いのだが。
こればかりは、私の我欲を通すわけには行かず、彼の心が一番大切だから
自然に副うことが出来るまで、じっと待ち続けるしか他がない。
いいのだ、ここに居る間の千色の時が融通無碍であるならば、これ以上の喜びがあろうか。
そっと甘苦い溜息をして、ずんずん遠くへ駆け去ろうとする、愛しい生き物たちを追った。
「ロコ!ここにお前のドッグランを作ろうか?いいかな、日も差すし木陰もあって風も巡る」
「よ、よろしいのですか?こんな良い場所に?」
「そして、あの太い枝と枝にハンモックを張るんだよ。私と千色が読書をするにちょうどいい」
追いつく間際の大木の木陰で私が声を張り上げると、千色とロコが寄って来る。
千色にぐるぐる回られながら、抱き上げられたロコが、元気に鳴く。
犬には表情筋がないのに、ロコと、千色は笑い合っているように見える。
「こらこら、ちぃ、危ないよ、転んでしまうよ」
「大丈夫です、ロコ、こうされるのが大好きなんですよ~。あ~限界!目が回った!」
尻餅をついて、芝に寝転ぶ千色と、放り出され、無邪気に駆け寄りじゃれるロコ。
勉強はお休みにして、今日はやっぱり、出かけよう。
こんなに元気な彼は、きっと、いろんな刺激を欲しているに違いないから。
私達の、楽しい夏を、心行くまで。
君は何も変わっていないのだ、君は君で素敵な千色なのだと、教えてあげるね。
◇◇◇
珍しいことに小百合が、もじもじして、赤面している。
あかねは、うっとりして、夢見心地だ。
さて、私の千色はどうだろう?
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