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僕の短所は、相手の顔色を伺い過ぎるとこ。
ネガティヴな所。他人に流されやすい所。自分からはなかなか話しかけられない所。自己愛が過ぎること。
僕は、小心者。身体に固い甲羅をしょって地を這う。そして時々、大きな月を見上げるんだ。
こんな僕にもたった一人の友達がいる。
その子はいつもボソリと声を零す。
それを誰も拾っていないとその子は思っているけど、僕は知ってる。
君が、男の子をすきなこと。
君の好きな人が、とても人気者なこと。
君は、好きな人を見ていつも決まってこう零す。
「羨ましい」
って、ほらね?また言った。
その言葉が誰に向かって言われているのか、僕にはわかるんだ。
たくさんの友達と女の子に囲まれてる彼じゃなくて、友達と女の子に向けられた「羨ましい」。
その声色と視線が僕に教えてくれたんだ。
ただ知っているのはきっと僕だけ。小心者な僕には彼と彼をくっつけてあげる事なんて出来そうにもないんだ。ごめんね?
だから、いっつも知らんぷりをしているけど、今日は知らんぷりはできなかった。
だって
「白川くん?どーしたの?」
友達の好きな人が、呼ばれていつものように笑った。
だって
白川くんが、言ったんだ。
《ビンゴ》って。やっぱりそれは僕にしか届かない。
「村井?早く行くよー」
友達にも届かない。
「石田くん!待って!」
秘密には出来ないよ。
だって白川くんが。
石田くんを見つめて、人の悪そうな笑みを浮かべて「ビンゴ」って言ったから。
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