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”-2” 猫、最愛の人と別れる ‐5
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◇◇◇◇◇
目覚めたら、隣に爽くんはいなくて
ちょっと寂しくなって
リビングに探しに行って、あ、って、思い出す
お花見以降、気がつくと泣いてて
夕べも、いっぱい泣きに泣いて
草臥れて爽くんに、顔を拭いて貰いながら
静さんの危篤の連絡から、ずっと
眠たいなんて思わなくて眠れないけど
体が限界になると、気を失って寝ちゃうって日々だったのが
久しぶりにすごーく「眠りたいな」って思った
「今日は安定剤、飲ませなくても大丈夫そうだね」
ほっとした顔の爽くんを、まじまじと見つめてしまった
僕、ずっと安定剤のお世話になってたんだ
確かに爽くんのご飯の後、よく気を失ったものね
お風呂に入れてもらって
まるで赤ちゃんみたいに、すべていろいろしてもらって
ベットに横たえられて
「今夜は、静さん、一緒に寝なくても、俺がいれば大丈夫?」
って、やさしい笑みで確認されて
ずっと僕が寝付くまで腕枕してくれて髪を撫でててくれてた
そのとき、「明日は大学行って、学生証の書き換えとか、教科書買ったりとかしてくるから、出かけるね」って予告されていたよなって思い出した
ダイニングテーブルには「朝とお昼ご飯兼用オープンサンドが冷蔵庫に入ってるよ食べるように」ってメモと
熱々なトマトスープ入りのスープジャーが載っていた
ずっと何を食べても味もわからなかった僕は
今朝のご飯がものすごく美味しくて
ふと
爽くんが毎日毎食、いろいろ作って
自ら、箸を持とうとも、口を開こうとしない僕に
根気よく、食べてくれって言って、世話を焼いてくれてたことに気付く
少しずつ、爽くんへの感謝の気持ちで涙が出そうなのを我慢して、噛締めて食べてたら
リビングの固定電話が鳴って
見に行ってみたら、番号が、ケースケさんのスマホからで
声がおかしくないか、ちょっと発声練習をして
切れちゃったら、出ないつもりだったのに、意外に着信は長くて
・・・・・・僕のこのダメダメっぷり、ケースケさんなら知ってるよねって
勇気を出して、出てみることにした
「健くん?大丈夫?私がわかる?」
「・・・え?野田さん?」
予想と違った、いつも聞くだけで、元気が伝染しそうになる高校からの友人、野田花菜さんの声がした
電話の持ち主、ケースケさんこと、山瀬圭介さんも、そう
僕と同じ郷里の高校卒で、僕と同じ大学の薬学部に通う大切な友人達
恥ずかしかったけど、結婚お祝いパーティーなんか企画してくれた
僕等の関係を知ってて、それでも良いお友達な、二人
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