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”-1~+1” 王子の最愛の人々 ‐15
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◇◇◇◇◇
一旦なのか、このまま徐々に落ち着いていってくれるのか、判断に迷ったが。
来週の月曜日から、授業が始まるわけで。
大学生活を送る為に、必要な準備をしないわけにはいかない。
教科書を代わりに買っておこうか?と
日本最大大手の井田自動車、創始者の曾孫なんて、
めちゃめちゃ凄いお坊ちゃまの井田天音(あまね)を恋人に持つ
同じ医学部の友人の横山正直(まさなお)が連絡を寄越したが。
その井田が立て替えてくれるのではないと知って、
奨学金でかつかつの生活を送る横山に頼める筈もなく。
なによりも、学生証を何とかしないといけない俺は、健を留守番させ、短時間で戻るつもりで、
昨日もほとんどを泣いて過ごし、朝10時を過ぎても、よく眠っている健に
後ろ髪が禿げるんじゃないかってくらい、気を引かれまくっても、出かけることにして。
一秒でも早く、終わらせて帰りたいのに、こういう時って、絶対早くは帰れないものなのか。
先ずは、事務局へと向かったのに、やたらと混んでいる。
学生証を交付して欲しい奴が、何でこんなに居やがるんだと、イラつきつつ、
約2時間かけて新しい学生証を手にして。
学生協は、更に、朝の通勤ラッシュかって混み合い様で、
2階の書籍フロアから1階の購買フロアにまで、教科書購入渋滞が起きてる。
ぐったりしながら、購入物を全て手にできたのは、大学について5時間も経過後だった。
当初の予定では、一度、教科書類を置きがてら、健の様子を見て。
それから、食材が、ほぼ空になってる冷蔵庫を埋めるべく買出しに行くつもりだったけど、
大学にかかり過ぎたから、直で、今夜と明朝だけ何とかなる程度の買い物に切り替え、
空手仲間で、いまや、無二の友とも呼べる、商店街の魚屋、魚信3代目、坂田信太郎に
向かう前から、連絡を入れ、刺身盛り合わせ2人前を頼んで。
気の利く奴が、他の買い物も、適当にしとくと請け負ってくれ。
向かう道々の商店街店主達からも、健の具合を尋ねられ、
いろんなものを、お見舞いだ、今夜食べろだと、こまごま、くれて寄越してもらい。
ありがたくて、逆に申し訳なくなりつつ、大荷物で信太郎の所に着くと
そのあまりの荷物の量に、呆れて、俺のしたかった買い物分を全部持って
マンションまで送ってくれたほどだった。
「これ、いい魚が入ったから、家のやつが、作ったんだ。味見してやってくれ」
別れ際、別に、まだ温もりが残る、健が好きな煮魚入りのパックをくれた。
一番のお人好しはお前だろって、思ったけど。
健が元気になったら、一緒に、飯食いに行こう、お礼方々。
書入れ時の、信太郎の母の女将さんに任せてきた店が気になって、
夕暮れの中を急いで走り帰る、信太郎のいい奴ぶりに、ほっこりしてる場合じゃなかったと、
俺も、また、急いで、自分の部屋に帰る。
こまめに、顔出したり、様子を見してくれって頼んでた圭介から連絡がなかったから
大丈夫だったんだと、信じ、祈るような気持ちで、玄関ドアを開け。
食材以外の荷を、玄関に置き去り、返事を期待せずに帰宅を告げて。
「ん?」
どこからともなく、微かな警告音みたいな電子音がしてるって気付く。
何の・・・音だ?
薄暗い廊下に、俺が進む度、人感センサーの明かりが点り。
取り急ぎ向かうリビングに近づくほどに大きくなる、それ。
明かりがないって、健は、寝ているのかな。
家中、警告音以外は、恐ろしく静かだ。
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