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”-1~+1” 王子の最愛の人々 ‐20
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しばらく、健を抱きしめて。
抵抗が徐々に緩んで、抱き返されて。
「「・・・許して?」」
って、お互い声が揃って。それぞれ微妙に違う意味のお詫びが出来て。
落ち着いた二人の腹が鳴る音で、可笑しくなって笑い転げて。
生温い刺身に、冷たくなった煮魚に、ちょっと硬くなった安倍川餅に、ひっくり返ったカナッペに。
汁が出過ぎちゃった野菜の炒めものに、汁がなくなっちゃった豚汁饂飩に。
色々な善意を詰めた、なんでもありな夕餉を食べて。
仕上げは、潰れて拉げたショートケーキを、二人で半分して食べた。
いつも、健が好んで買いに行く、美味しいイギリスパンの店の奥さんが
「健ちゃんのアドバイスと考えてくれたレシピで作ったの。
乳アレルギーの子でも食べれるケーキ、試食してもらえるといいんだけど」
素朴で、豆乳のクリームのデコレーションがしてあるヤツ。
「いやあ、俺って幸せもんだよな~、期せずしてケーキまで食っちゃってるし」
「・・・・・・僕だって、作るもん、爽くんに。やりなおそう、ね、誕生日?」
「ヤダよ、今日の方が誕生日にぴったりだもん」
俺の本心を吐露したら、ぷうーって、健の頬が膨れて。
可愛らしくて、指でつついてみた。
こんな誕生日、生涯忘れないし、すごく、いい日だって思うし。
久しぶりにすごく美味そうに飯を食って、笑ってくれてる健を、
これから、たっぷり、頂けちゃう約束もしちゃってるんだし。
「片付けしとくから、お風呂先に行っておいで?」
一緒に入ってくれる?って言ったら、恥ずかしいから絶対、嫌!って照れて怒った健。
しばらく、健の心がここにない頃、何度も一緒に入ってるんだ。
思い余って、とんでもないことしでかされるのが怖くて。
・・・・・・忘れてるのは、いいことなのかもしれない。
健が、リビングを出てった隙に、あの手紙らしいものを、俺の私室に隠した。
これからの今夜だけは、静さんから、健を独り占めさせて欲しくて、保険に。
すっかり、健はこの存在を忘れてしまったみたいだから、後で、返そうって。
◇◇◇
17の、初めて、健と身体を重ねた夜並みに、緊張してる自分に驚いて。
あの夜とは、順番が逆になった、風呂を使って、寝室に向かうってことに
心臓がバクバク言ってて、結構、焦る。
さっきまで、めっちゃ元気だったムスコくんも・・・なんか半端な、カンジだし。
ご期待に副えなかったら・・・どうしよう。
なんて、らしくないことが頭を過ってる。
ままよ、と、向かった徒歩数歩の寝室のドアを開けると。
「・・・・ちょっ!」
健が、所在無げに立ち尽くしてて、驚いて、声をかける間も置かず
待ち構えてて、抱きついて来た。
「遅いから、心配になった・・・じゃない、か」
ギリギリまで暗く落とした照明の明るさに、ふんわりと浮かぶ桜色の寝間着姿。
そう、俺の奥さんは、普段着が、いつの時代の人って、思うくらい
ちょっとアナログでノスタルジー色の強い、和服美人さんなのだ。
最高に、俺を興奮させる拵えで、待っててくれた。
・・・さっきまでの不安は、瞬間に、解決して。
小さな叫び声をあげる奥さんをお姫様抱っこして
俺達を待つ、キングサイズのベッドに強制連行してあげた。
しかし、軽い。 もしかして、切っちゃったな、下限の40の数字。
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