アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
”12” 迷い猫 ‐2
-
どうしよう、きっと
ううん、やっぱりそうだよ、だから、僕を、ここに独りで置き去りにしたんだ
どうしよう……
やっぱり、嫌われてしまったんだ、こんな、僕だもの
我慢したいのに、涙がどんどん溢れてきて、咳が止まらなくなる
どうしようもない絶望に捕らわれてしまう、んだ
静さんが、僕にいつも口癖みたいに言ってた言葉が、ふと浮かぶ
「健さん、泣いて諦めるなんて弱虫は、みいんな大嫌いに決まってるの。
ぐずぐず泣いてる暇があったら、顔を洗って、目を瞑ってでも前に進むの。
それで、転ぶのが嫌なら、しっかり目を開けて、本当に欲しいものを獲りに行きなさい」
僕の泣き虫の、懼れや臆病が由来の逃げの涙だけ、静さんは昔から許さなかった
今の、僕の涙って……もしかしなくても、それだって思ったら
泣いてちゃダメだって、わかった
捨てられちゃったって思うなら、まず、ごめんなさいして来なきゃ
それでもやっぱりダメって、言われちゃうのかもしれないけど……
それならそうと、ちゃんと言われてこなくちゃ、ダメ
失いたくないものなんだから、必死に、お願いしてみなくちゃ
泣いてる場合じゃない、そうだよね
僕は、行こう
多分、着替えや荷物は、置き場所も変わらないよね
えっと、あ、あった、ここに電話すれば、いいんだよね、うん
頑張れ、僕、ちゃんと、頑張れ
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
95 / 337