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”13” 王子、途方にくれる‐8
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思いの外、食べてくれた健の、皿に少しだけ残ったサンドイッチを腹に収めて。
御馳走様して、俺がワゴンに汚れ物を移して、テーブルを開ける間に
健は、部屋に備え付けので、紅茶を入れてくれてた。
珈琲の方が良かった?って言いたいんだろう、粉末の小袋を見せる。
「ううん。健のと一緒がいい。しくじった、紅茶も頼んでおけばよかったね」
やんわり首を横に振る。これでいいよってって意味だろう。
「なんか、あんまり健が話さなくても、言いたいことわかるかも。
重ねた時間と記憶があるからかな。健もそうでしょ?」
視線を伏せて、瞬く瞼で、悲しそうな意を伝える。
あ、ごめん。責めたつもりじゃないんだ、俺のこと、忘れちゃったこと。
言い方間違ったなって思いながら、椅子に座って、訂正も兼ねてお願いしてみる。
「ね、抱きしめたいな。俺の膝に来てくれる?」
向かい合わせの席で、困ったみたいに首を傾げて。少し頬を染めて。
やおら立ち上がり、食事の為に明るくしていた照明の明度を落とし、俯いたまま俺の前に立つ。
一人がけ用の椅子に二人乗っかって平気かなと考え、俺と健を合せた総重量はいくつだったっけ。
そんなことを考えている間に、背を向けて、俺の膝の先に、ちょこんと可愛いらしく座ってくれた。
後ろからの、ぎゅーですか。健くんの大好物ですねぇ、その体勢は。
向かい合って、ぎゅーの次に俺も大好物ですが。
確かにこの椅子では、向かいってはちょっと窮屈だったね。
腕を回し腰を引き上げて深く座らせて。俺達は、静かに紅茶を楽しむ。
こうしてるとやっと頭の高さが合う俺達は、とくとくと、早い鼓動を互いに聴き合う。
俺の方が飲み終わるのが早くて、ティーパックのだったけど、口の中がさっぱりした紅茶の残香を、
目の前の猫毛に覆われた項が恋しくなって掻き分けて、その薫香と混ぜて味わいたくなった。
ぴくっと肩を震わせるけど、抗わない健の耳と項に舌を這わせる。
聞き手と逆の右手でしたから、こっちにはない、俺との揃いのピアス。
「ね、ベッド行こうか?」
耳朶を甘噛みして、囁くと、感じて、うっとりしてた筈の健が、俺の腕を薙ぎ払い立ち上がってしまった。
え、な、なんで??
手にしてたカップを置いて、首を横に振ってるじゃないか。
健、勃ってるんだって、わかっちゃうんだよ?そのパンツ、タイトなんだし、
耳と項を味わいながら、左手は同時に、上着捲って、健のモノの上、撫でてたんだから。
咄嗟に逃げようとする腕を掴む。ん?なに?なんか言おうとしてる。
「ォう・・・ぉ~。おぅ、おうォ~!」
指差しながら涙目になってる。そか、そっか。健、お風呂入んなきゃ嫌がるもんな、いっつも。
その必死さに、笑いが込み上げちゃって、頬を膨らせた健に回れ右され肩をぺしって叩かれた。
このまま流されてくれないかなって期待してたんだけど、ダメか。
「じゃあ、行っておいで。終わったら俺も入るね。お湯張るんならそのままにしてて?」
恥ずかしそうに、こくんって頷いてくれて。
あ、なにそれ、かわいい。手を小さく、バイバイってして行った。
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