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”14” 迷うネコ-1
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side タケル
わからない、どうして?
佐倉さんが、いくら起こしても起きてくれなくなって
困って、そしたらまた息が出来なくなって
佐倉さんが、さっきと同じようにして、宥めてくれて、息を整えて
なんとか、呼吸が元通りになる
佐倉さんって、不思議な人
僕は、人に触られるのが嫌いなのに
彼に、こうされると落ち着くんだ
「眠ってて。落ち着くまで、大丈夫。もう苦しいの来ないよ。
俺は健とセックスなんかしてないし、安心して眠って?野坂を迎えに、呼んでおくね。
目が覚めたら、コンシェルジュデスクってところに電話して。
声出さなくてもわかるように、頼んでおくから、お休み。俺、大学行くから」
僕を寝かしつけながら、佐倉さんが一息に言って
僕が、多分、寝ちゃった後、いなくなったみたい
目が覚めたら、電話
とりあえず、言われたようにしてみたら
「ただいまお伺いいたしますので、少々お待ち下さい」
何も言わないのに、男の人の声がそう返って来た
5分も待ってないのに、その声の人が、ノックをして話しかける
「佐倉さま、お食事をお持ちしましたので、開けていただけますか?」
そっと、ドアを開けて、覗いてみたら、30代くらいの、カッコいい男のホテルの人?が居た
女のホテルの人が、僕の部屋のテーブルを朝ご飯用に作ってくれて
どうしよう、こんなの頼んでないし・・・って固まってたら
「お連れの佐倉様に、御朝食と、今後の件、万時承っております。
私、当ホテルのコンシェルジュ、水瀬と申します。私でお気に召さないとの事でしたら、
もうじき、女性スタッフも出勤してまいりますので交代いたします」
あ、佐倉さん、僕が苦手な人だったら、断っていいって意味で、この人に言ってるんだ
メモを取って来て、『大丈夫です、お願いします』って書いて伝えた
「では、まず。当ホテルの自慢の朝食をどうぞ」
アメリカンブレックファーストって、ちょっと憧れてた洋食の定番みたいな朝ご飯
家はいつも、おばあちゃんの和食だったから新鮮で
お休みの朝だけは、こんな本格的にじゃないけど、こういう感じのを作ってくれたな
なんだか全て、僕好みな按配で
トーストの焼き方、オムレツの半熟具合、ベーコンのカリカリ過ぎない感じ
紅茶もミルクティーで、ジュースもオレンジで、サラダのドレッシングはフレンチで
ジャムも選べるからって全種類見せてくれた
これは、僕が選ぶようにって、佐倉さんが言ってたんだって
デザートの果物も、グレープフルーツだった
果物だけは、水瀬さんが
「本当に、こちらで宜しかったですか?多くのお客様にはパパイヤをリクエストされますが」
って確認してくれたけど、僕は笑顔で、首を横に振った
あんまり、南国系のフルーツは得意じゃないんだ
また、佐倉さんの不思議が増えた
なんで、あの人は僕の食事の好みまで、こんなに詳しく知ってるんだろう
「お勧めは、エッグベネディクトの方のセットなのですが、
お連れの佐倉様が、お好みではないかもしれないと仰せでしたので。
ご興味がございましたら、また、お食事にいらして下さい」
ルームサービスのメニューを見せてくれて、その写真を見た
こんな料理、見たことないな
エッグ・・・なんとか、僕の知らない食べ物の名前だけど、卵の何かかな?
そのメニュー表を見て、ここが僕でも名前を知ってるホテルでビックリした
さっき、朝ご飯を女のホテルの人がテーブルに準備する間、水瀬さんがカーテンを開けてくれて
ベイブリッジが見えて、それもビックリしたんだけど
このホテルって、けっこうお値段する筈だ、多分
つい、メモに『僕、お金持ってないんです』って書いてしまった
そしたら、水瀬さんが、少し懐かしそうな顔に一瞬なって、すぐに余所行きの笑顔に戻って
「お支払いはすべて済んでおりますから、ご安心を。
では、お迎えの野坂様がおいでになる前にこなす日程です、お聞き下さい」
すらすらと、これからの僕の一日、高級ホテルで過ごす時間を説明してくれた
髪を切ってくれる人が、この部屋に来てくれて、散髪
眼鏡を作ってくれる人が来て、眼鏡の新調
その合間に、今日の僕に着替えを一式、水瀬さんが買って来てくれるんだって
「野坂様の到着は、午後になりますのでお昼はこちらのメニューからお好きなものをお選び下さい。
いらないと仰っても、何か召し上がっていただくようにと、お連れの佐倉様よりご依頼です」
すごく美味しいのに食べきれなくて、朝ご飯も残してるのに
多分、お昼までなんかお腹空かないと思います・・・・・・
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