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”16” ネコの憂い ‐4
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◇◇◇◇◇
やっと仕上げたお買い物リストを野坂さんに渡したの、お買い物してきてもらう前に取り返さなくちゃ
そう、思った僕は、いつも野坂さんが起こしに来てくれる時間により早く起きて、リビングで待ってた
大丈夫かな、さっき嫌だけど、鏡を見てきたら普通かな、とは思ったけど
腫れぼったかったりしたら・・・困るな 泣いちゃうなんて、自分でもビックリした
ちゃんと、佐倉さんと話してるうちは、佐倉さんが好きじゃない笑顔を頑張ってしてれたと思う
佐倉さんが、「じゃあ、また明日ね、おやすみ」って言って、電話が切れてから
それから、だもん 大丈夫、見られてなかった、絶対
今日、金曜日だけど、佐倉さんは来ない
来週末からテストが始まるんだって、その準備と
で、そのテストの中で、テストじゃなくてレポートでもいいって教科のを
提出しなきゃいけないのが、週明けまでに3本あるんだって
だから行けないって、ごめんねって、謝ってくれた、誠心誠意・・・だと思う
毎日、何とか行けるように、頑張ってみたけど、まだ2本が手付かずだって言う
佐倉さんの目元には、確かに日々濃くなってく、隈がくっきり
気にしないで、お勉強大変なのに、無理しないでいいですって
ちゃんと心から言えた、うん、心から思ってるもの、言った
そしたら、言い辛そうに、佐倉さんは続けて言った
「試験ね、7月20日まででさ。それまで行けなくても大丈夫?
あ、無理なら、えーとその前の、海の日のある3連休の内、1泊2日とかで行けるな。
あ、うん、大丈夫、えーと金曜の夕御飯に間に合うように向かって、土曜日夕御飯まて・・・」
「ううん。いいです。無理しないで、お勉強、3連休ならいっぱいできるでしょ?
僕の所に寝不足で無理に来るより、ちゃんと御飯食べて、睡眠時間も取って下さい。
東京、梅雨の時期、蒸し暑くて大変だと思うから、体調崩したら、元も子もない」
僕が佐倉さんの言葉を遮り、いっぱいお話したら、感心された
「健、お話しすっごく上手になったね!前よりも、はっきり話してるくらいかも。
練習頑張ってるんだね、お疲れ様。偉いね」
で、また、あの悲しい顔になった
前の僕 前の僕 前の僕・・・・・・ふぅ、佐倉さん、僕はわかりません
「ごめんなさい。ちょっと疲れました。そろそろお風呂に入って寝ます。
佐倉さんは、どうしたいですか?」
「あ、ごめん。こんな言い訳ばっかの電話になっちゃって。
健こそ、逆にそっちは梅雨寒だったりするんだから、風邪引かないように気をつけてね」
僕が、もう話すの気持ち的にしんどくなったから、切ろうとしてるのに
佐倉さんは、優しく僕なんかの体調まで心配してくれる 早く、早く切っちゃって下さい
泣きそうな気分なんです、僕・・・・・・我が儘だから
程なく切ってくれた電話の、「通話終了」の文字とマークを見つめてたら
じんわり、文字が滲んで読めなくなって、ぽとりと、画面に雫が落ちた
眼鏡の中は、もう、洪水だったから、滴って落ちたんだ
お風呂に走って行って、何回も顔を洗うのに、止まらなくて
独りきりだから、逆上せたりしたら大変と、慌てて上がって
でも髪を乾かす間も、やっぱり泣くのが止められなくて、お薬、傷口に塗らなきゃなのに
もう、いいって、思っちゃって 傷なんか、もう、いいって
こんなになって、もう、誰も、僕の身体なんか見たら、嫌な気分になるだろうし
ああ、僕、こんなに深い傷いっぱい出来たなら、死んじゃってれば良かったのに
そんな、僕を一生懸命助けてくれた人達に申し訳ないことまで思って
いろんなことが、悲しくなって
こうしてボロボロ泣いてるのなんか恥ずかしい
こんな僕だから、愛想だってつかされちゃうんだって、思ったら
「毎晩、電話必ずするし、本当に我慢できないときは呼んでくれたらすぐに行くし、
20日、テスト終わったらその足で、大至急向かうから、
それからの夏休みは毎日ずっと一緒だから。本当に約束するから、ね?」
ちゃんと、佐倉さんが、そういってくれた言葉が色褪せてくのが怖くなって
お布団を頭まで被って、泣き止めなくて、ぐずぐずしてるうちに眠っちゃってた
良かった、顔は腫れてなかったって思ったけど、やっぱり心配で
さっきまで、冷やしタオル、当ててた
「おや、お珍しい。朝からお出迎えしてくれるなんて。おはようございます」
「おはようございます、いつもありがとうございます」
野坂さんは月曜から金曜日、毎朝、牧場から直接僕の一日分の牛乳かヨーグルトを届けてくれる
朝のご機嫌伺いのついでに ご機嫌伺いはあと、夕方か夜にあって 一日2回は必ず
玄関の戸が鍵を開ける音がしてたから、玄関まで行ってたんだ
佐倉さんとのお約束で、お家の鍵は必ず、野坂さんが外から開け閉めする
そして、それよりも前も後も、外に出ませんって、約束
昼間、独りきりで心配なときは、内鍵掛けてなさいって言われてる
「そんな囚人みたいなの可哀想ですからね、私は、お役目のために来るってします。
だから朝は絞りたてミルクを、夕方はその日その日の美味しい物をお届けに来ます」
って、佐倉さんが少し厳しい顔で僕に約束させた時、野坂さんは笑って言ってくれた
「今日はヨーグルトにしましたよ。2日間分、溜まってたでしょ?牛乳。
今日は1本は飲んじゃわないとね~ダメですよ、ハイどうぞ」
「ありがとう。あの、野坂さん、昨日渡したね、お買い物メモなんですが、もう買っちゃいましたか?」
「いいえ、まだです。でも、返しませんよ」
「え?で、でも、あんなに一人じゃ食べきれないんです。佐倉さん、来れないって・・・・・・」
「ハイ、伺いましたよ。今朝ほど、その件で叩き起こされました。あの悪徳主人めに。
週末、私で大変申し訳ないのですが、お食事、ご一緒させていだだけませんか?
20日の週末までだからたった2回分しかないのですが。
生憎、どっかにヤキモチ焼きな誰かがおりまして、
一緒にお泊りするのやお出かけはダメだって言われているんですよ。
なにせ私も独り身なので、帰っても一人飯ですから。
たまには健さまのご馳走をご相伴にあずかりたいと思っているのでございますが
・・・こんな爺ではお嫌ですか?」
ああ、どうしよう
佐倉さんと、野坂さんの優しさが染みるよ~ また、泣いてしまいそうになる
「野坂さん、煮込まなくちゃ美味しくないから、明日の晩ですが、カレーお好きですか?」
「はい!大好物です。でも、私は、あの店で出てくる高級なのよりも、普通のお家のカレーが好きで。
あ、きっと健さまのカレーは本格的でしょう?でも、大丈夫、どっちも好きですよ」
「いいえ、僕のカレーはお家のです。お買い物リストにちゃんとカレールー書いてあるんです。
もしも、野坂さんがお好みのメーカーが良かったらそっちにして下さいね」
野坂さんは、嬉しそうに、うんうんって頷いてくれた
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