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”19” 王子と、ネコと猫 ‐2
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「・・・・・・やばい、止んない。ね、俺の事、拒否ってよ」
口の端を淫らに俺達の唾液でしとどに濡らして、カオルが首を弱々しく横に振る。
固く固く閉ざす瞼に、綺麗な琥珀の瞳を隠し、
涙を止めようと、甘く唇が開いて、息を荒くして、はくはくしてる呼吸。
・・・・・・扇情的にしか見えなくなって困る。
くっそ、抱きたいって、抱きたいよ、健を!
「ごめん。ごめんね、カオル君」
名残惜しいけれど、ギュッと一度だけ抱きしめさせてもらって、
カオルをそのままにして、俺は、風呂場に向かった。
親父に、文句を言いたいよ。
この別荘、リビングダイニングと水回り、それ以外、主寝室しかない。
こんな状況になったら、逃げ場ないんだってば。
あ~、俺の哀れなムスコを慰めつつ、
どんな顔して、リビングに戻りゃいいのか、気が滅入る。
えーい、気にしてたら、気持ち良さが半減するわっ!!
あ、でも、なんか言っとかないと! 僕はいなくなった方が理論とか発案されたら大事だ。
俺は、脱衣所のドアに凭れて、残して来たカオルに声をかける。
「カオル、くっ、ん? そこに、ぃ、て?」
あ、声、ちょっと裏返り気味だわ・・・かっこわりぃ。
蚊の鳴くような、細い声で、はい と ごめんなさい が聞こえた。
カオルに、あんなに謝らせてばかりなの、嫌なんだけどな。
◇◇◇
カオルが両手を揃えて、俺の目の前に差し出す。
「文庫本、持てるくらいだけで、本当に大丈夫?」
「はい。宜しくお願いします」
で、俺は、その折れそうに細い手首に、健の寝間着の腰紐で、時々八の字のぐるぐる巻きをする。
二本繋いだ片方はの端は、俺の右手首に巻く。
この前に、二人とも寝巻に着替えてるし、俺の脇のサイドテーブルには安定剤とペットボトルの水。
そして、この1時間くらい前、俺達は、主寝室の模様替えをした。
セミダブルのツインベッドをくっつけて、一纏めにし、マットレスも無理やりつけ、一つのベッドにして。
こんな無意味にデカい寝具用のリネンはないから、今までのを2枚ずつ使用して、端と端に寝る。
カオルの側をぴったり壁に付け、俺の側を通らないと、
大きく回り込まなくちゃ外に通じるドアを開けれないようにした。
つまり、紐をピーンと伸ばしてもそこまで届かないってことで。
どうしても外に出ようとするなら、目の前の俺を超えて、且つ、紐を解かなくちゃならないってこと。
カオルは、どうしても俺に眠って欲しいって主張し、
安心して眠れないなら、自らの手足の自由を奪ってもいいとまで言う。
こんな、茶番っぽいことをする羽目になったのはそのせい。
アイマスク代わりに、厚手のバスタオルで目隠しして、デパスを飲んだ。
あまり効果がないカーテンを引いて部屋を暗くしようとするカオルが、
それじゃ、なんにもすることなくて退屈しちゃうでしょうって、俺が目隠しすることになった。
安定剤が効いて来れば、寝ちゃうんだけどね、こんなの無くてもさ。
俺が寝付いた間、トイレとかも行きたくなるだろうにって危惧すれば、
まとめて出して来たし水分あんまりとらなきゃ大丈夫って。
ま、弱冷にして部屋の温度も一定だし、横になって、読書してるって言ってるし。
なにより、解く気になれば、歯を使ってだって、こんな紐、解けちゃうから。
健の事、縛ったりなんかしたことないけど……。
ふ、不謹慎なんだが、興奮してる俺が居たりする。
前釦のパジャマで両手を縛られてる姿って、背徳的だよね。
聞き分けない時に、両手を頭上で一纏めにして、コトに及んだのは何度かあって
寝間着の腰紐で縛っちゃおうかなんて過った、一番近い記憶は今年の新春の夜の出来事を
人工的な闇と睡魔に飲まれながら思い出していた、あの夜、なんで・・・・・・。
ふと、背を向けあってるカオルが、また、ごめんなさいって呟いた気がした。
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