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大誤算っ!
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なるべく音を立てずに入ったつもりだった。
だけど、それでもアイツはリビングから突進してきた。
『りっちゃんりっちゃんりっちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!』
真っ白いイノシシの頭を片手で制止し振り払い、俺は ただいま と素っ気なく放つ。
壁に激突したのか頬を抑えながら、尚もヘラヘラと笑いながらこちらを見てくる。
世はこういうのを”キショい”と表現するんだろう。
靴を脱いで、廊下を渡ろうとするが、キショいのが目を輝かせながら立ちはだかる。
『りっちゃんりっちゃんっ!
ご飯にする?お風呂にする?それともボk「邪魔。」
帰宅後2度目となる、白いのの頭の振り払いを行い、
俺は2階にある自室に入り、ドアを施錠する。
ベッドに倒れ込むと、疲れがどっと押し寄せてくる。
ドアノブがガチャガチャと激しく上下する。
ドアの外で夕飯の献立をランランと語る声が部屋にまで入ってくる。
煩い。
堪らず開錠しドアを”ゆっくり”と開ける。
案の定、ドアにぴったりくっつくようになっていた奏(カナデ)は、慌てたように避けだす。
エプロン姿の可愛い系男子が、俺の顔をじっと見つめる。
先に目を逸らしたのは俺だった。
「煩い。疲れてるんだから静かに寝かせろ。」
なるべく簡潔に、冷たい声を出す。
遠慮とか考慮とか、そんなもの最低限でいい。
コイツをこれ以上付け上がらせてはいけない。
奏は そっか とだけ言って、とぼとぼと階段を下りていく。
そんな姿に、胸がもやっとするが、これも安眠のためだと思い、
またドアを閉め・・・ようとした。
が。
勢い良く飛んできたスリッパが俺に直撃した。
地味且つ鋭い痛みが頭を支配する。
拾い上げたら、奏のものだった。
『りっちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ
ごめん、ごめんなさいぃぃぃぃぃぃぃぃぃ』
うずくまる俺に謝りながら駆け寄る奏を片手で制する。
スリッパを奏にの足元に放り投げる。
「で?まだなんか用あんの?」
痛みでイラッと来てるのを必死に抑えるが、
奏はケロッとした顔で言い放つ。
『え?ああ、何時に起こせばいいか聞いてなかったから』
スパンッと奏の頭をスライド叩きし、俺は今度こそ本当にドアを施錠した。
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