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大誤算っ!
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ドアをつたってズルズルと体が滑り落ちていく。
奏が痛いだのなんだのと抗議してるが、耳を塞いで聞こえないようにする。
俺はどこで間違ってしまったのだろう・・・
上村 律 (カミムラ リツ)。
これが俺の名前。
この家から電車で30分のところにある男子校に通う高校生。
良くも悪くも”ストレート”な性格だと、周りは評価する。
実際、嘘付くのも苦手だし、オブラートの包み方もイマイチ分からない。
逆に、どうして思ったことをハッキリ言ってはいけないのだろう?
無理に歯に衣着せたって、自分にも相手のも何の得も無いだろうに。
それに、偽りの言葉など、相手に失礼ではないか。
・・・まぁ、日本の世の考えでは俺のほうが”失礼”らしいが。
そんなこんなで、俺は敵を作りやすい。
敬遠されることはあっても、懐かれることなんて滅多に無い。
友人だと思っていた奴は”心が折れた”と言い、教師や先輩は”可愛くない”と言って離れていった。
それで良かった。
言いたいこと言えずにモヤモヤを抱えながら接するよりは、距離を置いてくれたほうが楽だ。
そうやって、俺は過ごしてきた。
だから余計、奏の俺への対応に心底困惑している。
・・・いや、正確には、奏の”変わり様”に 、困惑している。
桐生 奏(キリュウ カナデ)。
俺より2つ年下の、14歳。
現在、引きこもり歴3年目で、ほぼ主夫状態にある”元”中学生。
厳密にはまだ退学はしてないので、”元”という表現は良ろしくないだろうが、
本人に再登校する気は全く無い。
放っておけば、本当の主夫として俺の家に居座り続けるだろう。
そんなこと、絶対させないけど。
そもそも、義務教育もろくに受けてない奴、家政夫にもしない。
苗字違うし、”居座る”とか表現してるから分かるだろうが、
奏は俺ん家の居候、もとい、同居人だ。
同居人って言っても、全く接触する気は無かったけど。
お互いに”そういう状況”になると思ってた。
まさか、予想と180°真逆の暮らしになるなんて思ってもみなかった。
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