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大誤算っ!
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ひと通り文句を言って気が済んだのか、奏はまた明るい声になる。
『下で待ってるからね?♪』
「待ってなくていい。」
俺の言葉を聞いたか聞いてないか、
数秒後には、リズミカルに階段を下りていく足音する。
新婚気分が抜けない嫁か、オマエは。
俺は深く溜息をつき、暗い天井をぼーっと眺める。
次第に、倦怠感で支配されていた頭がすっとしてくる。
時には頭を空っぽにするのも必要だな、と内心苦笑いをする。
気持ちに余裕が出来たからか、空腹であることに気づく。
下に行けば奏の料理がある。
でも、さっきの今だ。
なんとなく行きづらい。
空腹を紛らわすため、机に置いてあるノートパソコンの電源を入れ、USBを差し込む。
カチカチと慣れた手つきでファイルを開けば、書きかけの文章が姿を現す。
最後の数行を読んで、こんなん書いてたっけ?と疑問に思いつつ、続きを書くべく指を動かす。
俺は趣味で小説を書いている。
文芸部にも所属してたりする。
と言っても、学校の作文コンクールとかで入賞したことはない。
国語の成績も人並み。
読書が好きで書き始めた、
いわゆる"下手の横好き"だ。
大手と呼んでも過言ではない小説サイトで、名を知られることなくひっそりと活動している。
短編を中心だったが、今は長編ちまちま書いている。
題材は、【引きこもり少年の日常】
暗く閉ざされた自室の中で、世の中の常識や規則の矛盾を漠然と考える少年の日常物語。
淡々としているので面白さには欠けるが、書きやすいので、なんとなく続けてる。
もう幾度も完結するタイミングを逃している。
そう言えば、これを書き始めたの、奏と初めて会った日だなぁと、頭を過る。
だがそれは、部誌に載せる作品も仕上げなきゃ という焦りに覆い隠されてしまった。
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