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大誤算っ!
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風呂から上がり、髪を拭きながらリビングへ顔を出す。
先程ちょっとした小競り合いがあったからといって、挨拶無しに自室へ戻るのは失礼だろう。
しかし、リビングの電気は消えていた。
テーブルの上には、"先に行ってるね"という置き手紙があった。
まさか、と思い部屋へ急ぐ。
いや、まさかのまさかなのだが。
階段を駆け上がり、ドアノブを思いっきりひねる。
やはり、鍵を掛け忘れてる。
そのままドアを押し開けると、案の定、居た。
『おかえりなさい!
早かったねっ!』
「なんで居んの?」
『鍵、開いてたから♪』
しれっとした態度で、奏は俺のベッドにちょこんと座っている。
奏は俺の部屋が開いていると、必ずと言っていいほど勝手に入ってくる。
夜はパジャマを着て、枕を持って。
『一緒に寝ていい?』
「なんで?」
寂しいから、と潤んだ瞳が俺を捉える。
勝手にしろ、と半ば諦め状態で俺は言い放つ。
ダメだと言っても、意地でもここに居座るのだ。
結局は一緒に寝る羽目になるので、俺は拒否るのを止めた。
ありがとうっ、と俺に飛びつく奏を軽くかわす。
ベチャッとかいう効果音が出そうなくらい、ベタに床に倒れた。
本日幾度目か分からない、痛いという抗議を受け流しつつ、横目で奏を盗み見る。
怒ってバタバタと振り回わす手は、萌え袖状態。
着込んだ黄色い前開きボタンのパジャマは、幾つか掛け間違っている。
以前、前開きボタンなんて着づらくないのかと訊いたことがある。
そしたら、脱がしにくいでしょ?と訳の分からない答えが返ってきた。
まぁ、どうでもいいのだが。
俺はさっさと布団に入る。
続いて奏が同じ布団に入ってくる。
なぜ同じじゃなきゃいけないのかと疑問に思いつつ、奏に背を向けて布団に包まる。
背後で、奏が俺の背中に手を当てようとしては引っ込める気配がするが、俺は黙って目を閉じた。
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