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オマエら何なの?
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風呂から出て、リビングの奏に声をかける。
やはり、元気が無い。
なんだか俺が悪いみたいに感じて、気分が悪い。
「俺が居ない日だって、たまには経験したほうがいい。」
『分かってるよ・・・』
言葉とは裏腹に、奏は完全に不貞腐れ顏だ。
その態度にプチんときそうになるのを抑えて、寝る、と短く吐き捨て、
歯を磨くために洗面所に行く。
歯磨き粉を手にした時、妙な違和感を感じた。
なんか、心なしか重くなってる。
新品を卸した感じではない。
今朝見たのと同じような擦れたパッケージが、そこにはある。
気のせいか、と歯ブラシの上にそれを出し、口の中に入れた。
激痛が、走る。
おぇ、と洗面台に吐き出し、慌てて水を飲む。
辛い、痛い、酸っぱい、痛い痛い痛いっっっ
ハッと歯磨き粉に目を向け、ギュッと中身を出してみる。
緑と黄と赤の三色が、憎らしくも鮮やかに姿を現す。
俺はそれを握り締め、リビングに駆け込んだ。
怒りが込み上げる。
『オマエ何しやがった?』
奏は背中を向けたまま、返事をしない。
俺は奏に歩み寄り、ガッと肩を掴みこちらを向かせる。
奏は、大粒の涙をこぼしていた。
『りっちゃんが・・・
りっちゃんが外泊するなんて言うからだっ!!』
「・・・は?」
目の前でわんわん泣き出す奏を、俺は呆れた眼差しで見下ろした。
それだけ?
それだけのために、歯磨き粉の中身をからしとワサビとケチャップにすり替えたのか?
ある意味凶器だったぞ?アレ。
俺は湧き上がってくる怒りを抑えることなく、奏を突き飛ばす。
「不満があるからって、あんな生死に関わるようなこと、すんじゃねェーよっ!
ガキかオマエはっ!」
『ガキで何が悪いのっ?
だって、りっちゃんがボクの見えないトコに行くの、イヤなんだもんっ!』
「なんだよその執着監視観念?
バッカらしぃ。
つーか、ウザいんだけどっ!」
バカでいいもんっ!と、奏はそこら辺に置いてあったものを片っ端から俺に投げつける。
箱ティッシュに新聞紙にリモコン、
ハサミやカッターまで飛んできた。
俺はたまに当たりつつも、次々とかわしていく。
そして投げる物がなくなって、台所に向かう奏の背中に飛び蹴りをする。
そっからはもう、子ども同士の取っ組み合いのケンカだ。
頬をつねったり、腹や背中を蹴ったり殴ったり、引っ掻いたり・・・。
自分でも、バカじゃん?って思ったが、奏のあまりにも横暴な仕打ちに、頭に血が上ってしまっていた。
それに、普段やられっぱなしで俺より弱いと思ってた奏が、実はめちゃくちゃ強かった。
力の加減が分かってないところからしてケンカ慣れはしていないようだが、だからこそ、痛い。
シャレにならん大アザを、いくつもつけられた。
そして互いに疲れてそのまま寝てしまい、気まずいまま朝を迎えた。
いつものように、奏は俺の弁当を作ってくれたが、
全く視線を交わすことなく、俺は登校した。
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