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オマエら何なの?
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「と、とりあえず、部屋、行く・・・?」
しどろもどろになりながら、俺は上を指差す。
おぅ!と目を細めて笑いながら、雪里が廊下を歩き出す。
何度も来たことがあるからか、迷いがない。
しかし、階段にさしかかる手前で、大きく豪快に滑って転んだ。
大丈夫か、と駆け寄る俺と、へーきへーき、と指でOKマークを作る雪里に向かって、
奏は微笑みを崩さず、"滑りやすいので気をつけてくださいね?"と声をかける。
そりゃ、滑りやすいよな。
"ドジっちゃった"とか言って、ローション撒き散らしたもんな、オマエ。
ちゃんと掃除してたけど、まだ残ってたのか・・・
雪里にバレないように奏を睨むが、
奏は一瞬、"してやったり顏"をして、またすぐにニコニコした。
わざとだ。
地味且つ確実に、雪里を攻撃するつもりだ・・・
危ない。非常に危ない。
そして、アブナイ。
なんでローションなんて持ってんだよっ!
何に使うんだよっ!
『まぁ、理由はなんとなく想像つくからさ、
部屋、行くよ?♪』
雪里が満面の笑みで一言告げ、階段を駆け上る。
俺の横を通り過ぎ、続いて上がろうとする奏の肩を俺は掴む。
が、咄嗟に言葉が出てこない。
それを察したのか知らないが、奏が俺の手に自分の手を重ね、大丈夫、と穏やかに笑う。
何が大丈夫なのか分からないが、俺の口はただ、よろしくな、としか発さなかった。
部屋に入ると、すでに雪里がくつろいでいた。
ベッドを占領し、ゴロゴロ左右に転がりまわる。
リラックスなされてて安心しました、とトゲが降る。
幼馴染みの家だからね、とトゲが刺し返される。
一瞬の、沈黙。
『そういえば、この家、いつの間にキレイになったなぁ』
雪里がしみじみと部屋を見渡す。
それは、と俺が口を開いたが、奏が割って入る。
『ボクが毎日掃除してるので。』
『へ〜、偉いねぇ〜』
『りっちゃんのためですから。』
『ほぉ〜、こりゃまた、献身的だねぇ〜』
微笑みながら交わされる会話。
トゲから槍へと威力を増す、イヤミ。
不穏だ・・・
台風とか嵐とか、そんなもんじゃ収まらない。
空気が、重い・・・。
俺は大きく咳払いをする。
一斉にこちらに視線が刺さる。
「何か飲み物、持ってこようか?」
お願い!と二カッと笑う雪里が、
ボクが行くよ、と立ち上がる奏を制する。
さすがに動揺したのだろうか、奏から笑みが消える。
『律、行ってきて?』
「あ、ああ・・・」
正直、この2人を部屋に残すに抵抗があった。
流血事件が起こりそうな気がする。
しかし、雪里の有無を言わせない、迫力のある一言に、頷くしかなかった。
ドアノブに手をかけた時、
りっちゃん、と奏のか細い声が聞こえた。
俺は振り返り、2人の中間あたりに目を向けて、すぐ戻るから、とだけ言い、部屋から出た。
廊下の空気が澄んでいるように、思えた。
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