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オマエら何なの?
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手足と共に動きを止めることのなかったボク達の口。
飛び交っていた暴言は、あらぬ方向に進んでいく。
『大体何なんだよ!その”りっちゃんのことはボクが一番知ってます”みたいな顔!
ふざけんなよっ
オレのが長く一緒に居んだよっ!』
「長さなんて関係無いでしょ?!
ボクはねぇ、この数か月間で密度の濃い接し方をしてきてるの!
それに、アンタこそ、りっちゃんのこと何でも知ってる風な言い方、止めてよっ!」
ヤダね、と舌を出してくる長谷川。
ボクはその舌を力の限りつねる。
応戦すべく、長谷川の頭がボクの頭に激突する。
お互い打撃を受けたので、ガバッとお互いから距離を放し、体勢を整える。
『言っとくけどなぁ、オマエが知らない律をオレはいっぱい知ってんだかんなぁ?』
「ボクだって、アンタの知らないりっちゃん、知ってるんだからぁ!」
へぇ~、じゃあ言ってみろよ?、と上から目線を外さない長谷川を睨みながら、
ボクはりっちゃんについて語り出す。
そんなんとっくに知ってますぅ、と嘲笑気味になる長谷川も、りっちゃんについて語り出すが、
残念!それ、もう知ってんだよねぇ~
ボク達の罵り合いは、いつの間にか、”どれだけりっちゃんを知っているか”の自慢し合いにすり替わってた。
小学校時代がどうとか、中学ではどうだったとか、
長谷川は過去のりっちゃんを自慢し、
ボクはボクで、りっちゃんが嫌いだったピーマンを食べられるようにしたとか、りっちゃんがずっと大事に持ってるぬいぐるみがあるとか、
りっちゃんの家でしか見せない素顔を全面的に出し、自慢した。
お互い、舌が回り切らないほどの、早口で。
『中学の時、オレの誕生日に家まで来てさぁ~
”ほらよ”ってそっぽ向いてケーキ差し出してきたんだぜぇ?
めちゃめちゃ可愛かったなぁ~・・・』
「は?そんなこと普通だし!
ボクになんか”飯”、”風呂”、”寝る”って、ぶっきらぼうな口調のくせに、なんか気恥ずかしそうに言うんだよ?
こっちのりっちゃんの方が断然可愛いっ!」
なにをぉ、なんだとぉ、と更に勢いがついていく。
小学校の時、クラスで飼ってたカメに自分だけ懐かれなくて泣いた律。
密かに録画してた連ドラの最終回で、感動でボロボロ泣いたりっちゃん。
大ゲンカして、とっさに”絶交だ”とか言って自分で恥ずかしくなる律。
一緒にテレビを見ようと電源点けたら男女の生々しいSEXシーンで、瞬時に消し、明日の天気へとあからさまに話題を変えたりっちゃん。
出るは出るは。
ボクらの自慢はとどまることを知らない。
逆に、どんどんヒートアップしていく。
『オレなんて、律と寝たぜ?』
「ボクだって何回も一緒に寝たもんっ!」
『淫らだったぜぇ~
あの時の律は。』
「淫らなのはアンタの頭ン中だけでしょ?!
このむっつりスケベっ!」
『それ、オマエが言えんのぉ?
どーせオマエだって考えてんだろ?
そーいうことしてる律を。』
「してないっ!」
・・・まあ、りっちゃんのこと考えながら1人エッチしたことはあるけど。
でも、そんな汚らわしい表現されるなんて許せないっ!
「アンタみたいに誰でも受け入れるような奴に、りっちゃんはふさわしくないっ!」
『オマエみたいなままごとの好意を向けられたって、律はちっとも嬉しくないだろうよっ!』
お互い、ここで深呼吸。
多分、相手が言う言葉を予想出来てる。
だからこそ、負けられない。
ボク達は、りっちゃんの部屋全体に響く声で、叫んだ。
「ボクのがりっちゃんを愛してるっ!」
『オレのほうが律を愛してるっ!』
バンッ!とドアが蹴破られる音が響く。
ビックリしたボクらは、同時に同じ方向に顔を向けた。
目の前には、すっごく不機嫌なりっちゃんが居た。
〜奏side〜 END
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