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オマエら何なの?
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「煩いんだけど。」
こちらを振り向いた2人に、俺はミニテーブルを設置しながら言った。
なるべく冷静に。
2人は揃って、気まずそうに、あははと笑う。
コイツらのケンカの様子は、下で飲み物と茶菓子を用意してる俺にも聞こえた。
遅かれ早かれ、ケンカになると予想はしてたんで、
適当なところで仲裁に入ればいいか、と安易に考えてた。
それに、ダイアモンドダスト状態よりは、俺の心的疲労は軽い。
しかし、だ。
予想してたより激しい。
そして長い。
これじゃあ、隣近所にも聞こえるだろ。
そう思って、トレイにコップ3つと茶菓子を乗っけて急いで部屋へ向かった。
そしたら、なんだ?
2人は俺の名前を連呼してる。
しかも、俺の赤裸々エピソードを叫んでる。
記憶の奥底にまで閉じ込めていたものから、ごく最近の、早く忘れたいものまで。
人の部屋で。本人の許可なく、勝手に。
俺はドアから少し離れた所にトレイを置き、階段を駆け下りた。
そして勢い良く玄関から外へ飛び出した。
本当に、2人の声はだだ漏れだった。
一刻も早く止めなければっ
そう思って、また家に入り、階段へと走った。
俺と寝ただの、俺が淫らだの、むっつりだの、事実が捻じ曲げられた発言が響く。
このまま行けば、俺までも口論に参戦しかねない。
俺は深呼吸をし、上りかけた階段をゆっくり下りた。
そして、怒りを抑えるがごとくミニテーブルを担ぎ、再び部屋へ向かった。
愛してる、その一言で、俺はドアを蹴り飛ばすハメになった。
「近所迷惑なんだけど?」
感情とは裏腹に、荒ぶることのない言葉。
メーターが一回転すると、こうなるのか、と自分でも感心する。
落ち着いた言葉に安心したのか、2人から安堵の吐息が漏れる。
別に、怒ってないわけじゃないんだけどな。
怒鳴り散らすのが虚しいと言うか、
恥ずかしさも度を越すと開き直りに変わると言うか。
だだ、メーターは逆回転へと揺れている。
それを察せないKYバカが、この部屋には居た。
『律って可愛いもんな♪』
俺は黙ってトレイを取りに立ち上がる。
振り返りざまに、雪里の頭を殴って。
背後で雪里が痛みに悶絶する気配がした。
そんな雪里に、ザマぁ、とでも言いそうな奏の頭を、
トレイを片手で持ち、空いた手で叩く。
オマエも同罪だっつーの。
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