アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
オマエら何なの?
-
ミニテーブルにトレイを置き、2人を振り返る。
半泣きの目が2セット。
それが俺の怒りを倍増させる。
「オマエら何なの?
人ん家でギャーギャー騒ぎやがって。
性格上合わないのは仕方ないけどさ、もうちょい静かにできないわけ?
マジで近所に丸聞こえなんだけど。
百歩譲って内容には目をつぶってやる。
でもな、ご近所の生活を乱すような大声出してんじゃねェよ。」
一気にまくし立てる俺に、2人はビクつきながらも、だって・・・、と口ごもる。
"だって"じゃねェよ。
あの騒音被害を、仕方なかった事、で済ませられるわけないだろーが。
ただでさえ、ゴミ屋敷として迷惑かけてて肩身が狭かったんだからな?
・・・まぁ、これは俺と親父のせいなんだけど。
でも、やっと築き直した近所との関係を、この一件で崩されるのは御免だ。
「ケンカすんなとは言わない。
だけど、ちゃんと周りを見ろ。」
へーい、と雪里が口を尖らせながら呟く。
よし、と満足げに頷く俺に、奏はムッとした表情で食ってかかってくる。
"自分のことは棚に上げて"と。
多分、夜中に奏と行なったケンカについて言っているのだろう。
あれはあれで、かなり壮大な規模だったからな。
しかも夜中だったし。
それを言われたら、俺は何も言えなくなるわけで。
黙り込む俺を見て勢いを取り戻した雪里が、横暴だと叫ぶ。
そうだそうだ、と奏が同調し出す。
その瞬間から、俺と2人の立場が逆転した。
『大体、律がコイツを甘やかしてんのがいけないんだぞ?!』
『りっちゃんにとって、幼馴染みってそんなに大事なのっ?』
いつの間にか壁際に追い詰められた俺は、2人の剣幕に目を泳がせるしかなかった。
右肩を雪里に、左肩を奏に掴まれる。
この際ハッキリさせようぜ?、と雪里が面倒臭そうに俺に顔を近づける。
奏は、りっちゃんの口から聞きたいな、と俺の耳元に擦り寄る。
『律はどっちが好きなんだ?』
『りっちゃんはどっちが好きなの?』
当然オレだよな、とでも言いたげにニヤッと笑う雪里。
ボクを選んでくれなきゃヤダ、と囁く奏。
俺は静かに目を閉じた。
俺の答えを待つ2人は、きっとソワソワしているのだろう。
無言の催促を、感じる。
ゆっくりと目を開け、真っ正面に座る2人の顔を見つめる。
すぅ、と空気を吸い、俺はありったけの声で叫んだ。
「オマエらどっちも好きじゃねェーよっ!」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
25 / 124