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オマエら何なの?
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それからは大変だった。
嫌われたのはアンタのせいだ!と、2人が罪をなすり付け合うのを止めたり、
膝枕でどちらのほうが安心できるか、という競争に巻き込まれたり、
煩いとキレたら、騒いだお詫びに腕を揮うとか言って料理対決し出したり。
しかも、勝負の主旨が、
どれだけ俺を満足させられるか、から、どれだけ独創性があるか、に切り替わっていた。
出された2品は、もう、この世の物で作ったとは思えない味だった。
俺だってこんなクソ不味い料理、作ったことないぞ。
そしてまた、失敗したのはアンタのせいだ!とケンカが始まった。
ギャーギャー騒ぎながら風呂場に行き、交互に入りながら口論し続け、
そのまま俺の部屋に直行した。
もう勝手にしろ、と放っといたら、
突発的な枕投げが始まったらしく、2階でバッタンバッタン音がする。
あぁ、明日は近所に平謝りだな、菓子折り買う金あったっけ、と
俺は憂鬱になりながら、風呂に入った。
風呂から出ると、奏がソファに座っていた。
雪里は?と訊くと、疲れて寝ちゃった、と冷たく返ってきた。
布団はちゃんと掛けたよ?、と少し慌てた様子で付け足された。
当然だろ、と俺は奏の横に腰を下ろす。
えへへ、そうだよね、と頭を掻く奏は、いつものようにベッタリとはくっつかない。
俺はそんな奏の横顔を、じっと見つめた。
俺が付けたか雪里が付けたか判別はできないが、頬に何本も引っ掻き傷がついている。
真っ白い中に、赤い線が、目立つ。
「悪かったな・・・」
えっ?とこちらを向く奏の頬に、手を添える。
ヒヤッとしていた肌が、次第に熱くなっていく。
「雪里があそこまでオマエを攻撃するとは思わなかった。
俺も、ここまで強く引っ掻いてたとは、思わなかった。
ゴメン・・・」
傷、残らないといいけど、と呟き、俺は手を頬から離す。
大丈夫だよっ、と慌てる奏の頭を軽く小突き、
謝んないと気が済まないんだよ、と少し柔らかく頬笑む。
りっちゃんらしくないよ?、とはにかみながら言う奏に、
俺は、そうだな、とククッと笑う。
多分、俺、疲れてんだよ。
じゃなかったら、こんなコト絶対しない。
奏の隣に座ってて、安心するわけない。
奏に優しくしてやりたいなんて、
思うわけ、ない。
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