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オマエら何なの?
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俺はチラリと奏を見る。
真っ黒い瞳が、こちらを見据えている。
俺の知ってる普段の奏は、そこには居なかった。
「本気、なんだな?」
『ボクはいつでも本気だよ?』
確かに、奏は口にしたことを必ずやる。
何が何でも。
コイツなら、ホントに雪里を襲う。
確実に。絶対に。
どうするの?と、奏が口調を強める。
どうする、と訊かれても、答えは限られてる。
奏にキスするか、
雪里を生贄にするか、
俺は腹を括り、ソファから立ち上がった。
カーペットにぺたんと座る奏の前に膝をつき、真っ正面から奏の顔を見つめる。
長いまつ毛の下で、黒い瞳が微かに揺れる。
奏の両肩に手を置き、顔をそっと頬に近づける。
あっ、と短く漏れる奏の声に、俺は動きをピタッと止めた。
そして、先程のように顔をまた奏と真っ正面に戻した。
視線は外したまま。
「目、閉じとけよ。
見られてるとやりにくい。」
震える声を必死に隠し、冷静さを装う。
顔でバレバレだろうが。
だからこそ、見られてるのは、辛い。
『う、うん・・・』
緊張で固くなる奏に、オマエが言い出したんだろ、とぶっきらぼうに呟く。
そして、奏の目が閉じられたのを確認して、再度、顔を頬に近づける。
さっきより、近くに。
ふわっと甘い香りが鼻をくすぐる。
奏の髪から漂う香りに、表現し難いめまいが起こる。
自然と閉じられた、俺の瞳。
視界が暗い中、
唇に柔らかい感触が、伝わった。
すっ、と体ごと奏を離す。
奏は満面の笑みを浮かべていた。
『りっちゃん、
よくできました♪』
勢い良く立ち上がる奏に、俺は呆気にとられる。
コイツっ!
こんな状況じゃなきゃ、絶対やってやらねぇのによっ!
「これで満足かよ?」
首を縦に大きく振る奏に、そうかよ、とだけ言って、俺は立ち上がる。
続いて、奏でも。
ニコニコ俺の横に立つ奏の額を指で強く押す。
「次は絶対やらないからな。」
『分かってるよ?
今日はトクベツなんでしょ?♪』
ホントに分かってんのか?コイツ。
俺は"寝る!"と言ってリビングのドアまで歩く。
奏はその場から動かず、おやすみ〜、と手を振っている。
振り向くことなく、返事代わりに手をヒラヒラさせる。
パタン、とドアが閉まる音が、やけに響いた。
"奏の頬、柔らかかった"
そんな言葉が、俺の頭を、支配した。
唇に残る、微かな熱と共に。
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