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オマエら何なの?
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翌朝、と言っても昼前だが、俺はゆるゆると起床した。
俺は、昨晩のことでモヤモヤしていて、若干寝不足だった。
奏は奏で、なんだかよく分からんが、目を腫らしていた。
一番早く寝て、何の悩みも無さそうな雪里は、案の定、スッキリさっぱり起きてきた。
そして、バイトがあるから、とテキパキと帰り支度を始めた。
ホント、羨ましいヤツだ、コイツは。
『お邪魔しましたっ♪』
いつの間にか玄関で靴を履いている雪里を、走って追いかける。
見送りくらいはしてやらないと。
また来いよ、と雪里の背中に言う。
雪里は俺を振り返り、二カッと笑う。
「また今度勉強、付き合ってやるよ」
『ありがちょっ♪』
"今度はオレん家で"と付け足す雪里を、俺の後ろに隠れてた奏が威嚇する。
そんな奏に雪里はニッコリと、貼り付けたような笑顔で返す。
『せいぜい律に嫌われないように尽くすんだなぁ、
奏チャン。』
『アンタこそ、ドジってりっちゃんに愛想尽かされないようにね、
ユキちゃん。』
バチバチと散る火花を、俺は2人の頭にチョップをして止める。
どうやら、ケンカしても友情は芽生えなかったらしい。
むしろ、さらに険悪になったようだ。
俺は、バイトに遅れるぞ、と雪里の背中を押し、帰るように促す。
雪里は、べー、と奏に向かって舌を出してから、じゃ!と玄関を出ていく。
ピシャッと扉が閉まると、奏が、ガキかよ、とボソっと毒を吐く。
オマエもな、と奏の頭を叩き、寝る、と俺は踵を返して廊下を歩く。
りっちゃん、という奏の声に、俺は振り返る。
何?と訊いても、何でもない、と返ってくるだけだった。
どう見ても、"何でもある"顔だ。
俺は数秒考えてから、口を開く。
「腹減ったから、昼飯作って。
奏の得意なのでいいから。」
不自然にならないように、サラッとすらっと言ったつもりだった。
しかし、奏は目をまん丸くして、えっ?と驚いた。
失敗した、そう思った途端に顔が熱くなり、奏から視線を逸らした。
絶対からかわれる。
そう思ってた。
でも、いつまで経っても何の言葉も返って来ない。
不思議に思い、チラッと奏を見た。
奏は口をポカンと開けたまま、涙を流していた。
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